ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
筆者が出張で熊本を訪れた際、JR熊本駅前に所在する「北九州予備校」という予備校の前を通り過ぎようとしたのですが、思わず足が止まってしまいました。
駅前の一等地に大きな予備校が立地している光景は、日本中どこでも見られ、何も珍しくはないのですが、正面玄関の「昨日の出席率 97.4%」という張り紙に目が釘付けになったのです。予備校に通われた経験がある方なら、誰もがこの数字に大変驚くのではないでしょうか。
「予備校が冬の時代に入った」と聞くと、多くの学生が浪人することなく大学に入学しているということですから、社会的には良いことのような気さえしてしまいますが、もちろん予備校業界にとっては深刻な問題です。
『すごい差別化戦略』(大崎孝徳/日本実業出版社)
代ゼミが大幅な規模縮小に追い込まれた背景には、私立大学文系学部を中心とした事業方針など、代ゼミ固有の問題はあるものの、日本において入学希望者より募集枠が多い、「大学全入時代」に突入したという環境要因の影響が強いでしょう。浪人生の数は、1990年代前半には20万人を超えていたものの、現在ではその半数を大きく割り込んでいるようです。また、大教室での講義が主流であった代ゼミに対して、インターネット配信型の講義を主とする東進ハイスクールのような新規参入業者の影響も小さくはないでしょう。
北九州予備校の生徒数は全国3位
北九州予備校は、本州にも東京と山口に校舎があるものの、基本的には九州が主たるエリアになっています。それにもかかわらず、生徒数が全国で3位になっているというのは驚きです。講義のスタイルは昔ながらの生講義で、学生が休み時間に答えを板書し、講師がコメントしながら添削するなど、最近はやりのネット配信型講義とは対極にあるといえます。