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住宅ローン破綻で家を手放す人激増…ローン地獄で苦しむより1000万円貯金すべき!

構成=小野貴史/経済ジャーナリスト

――マンションの購入については、会社員の場合、住宅ローンと生活設計とのバランスの見通しが必須条件でしょう。マンションを購入している50代半ばの会社員で、子供2人の教育費を支払っている知人が数人いますが、聞いてみると、みな40代後半にローンを払い終えたので教育費を無理なく支払えているということでした。

荻原 それはすごいですね。私は「50歳でプラスマイナスゼロなら御の字」と言っています。50歳の時点でローンを完済するなど借金がゼロであれば、貯金がゼロでも問題ないというわけです。もし、子供の教育費にメドがついていて共働きなら、夫婦で年間200万円は貯金できるでしょう。そうすれば、10年で2000万円になります。

 そして、仮に60歳で定年退職して退職金が1500万円入れば、3500万円の貯金を確保することができます。いずれにせよ、ローンを完済すれば将来の生活の見通しが立つようになります。そのため、「投資するぐらいなら、ローンの繰り上げ返済をすべき」と言い続けています。

ローン返済と教育費が重なり苦しむ50代

――多くの会社員は、50歳を過ぎると給料が下がっていきます。30代でマンションを購入して退職金で完済する計画を立てている人は、目算が狂ってしまうのではないでしょうか。

荻原 会社の業績が悪ければ退職金が出ない場合もあると思いますが、その時点でアウトです。また、返済期間中に会社が倒産するかもしれません。想定していない事態がいつ起こるかわからないということを認識すべきで、住宅ローンは50歳までに完済する計画を立てておくべきでしょうね。

 私は、50代でローン返済と教育費が重なって苦しんでいる人をたくさん見てきましたが、そういう人は「今がなんとかなればいいや」と思考停止に陥ってしまい、「将来、こうしよう」という前向きなビジョンを持てなくなってしまうのです。たかだか家のことで人生が立ち止まってしまうというのは、本当に罪なことですよね。

――そんな状態では、仕事もうまくいかないでしょう。マンションを購入する際は、そのリスクも冷静に考えるべきではないでしょうか。

荻原 購入することで、お金だけでなく住む場所も縛られてしまいます。しかし、所有欲の強い人もいるでしょうから、「どうしても購入したい」という意思は尊重するべきでしょう。ただ、今は何が起こるかわからない時代です。無理してローンを組んでマンションを購入するぐらいなら、借家住まいを続けて、現金を1000万円貯めたほうが現実的です。貯金が1000万円あれば、不測の事態にも対処できますから。変化の激しい時代においては、現金を持っているということが最大の強みになります。

国策の住宅バブルで欠陥マンションが激増!

――本書では「不動産購入に慣れていない人の場合、いったん心が購入に傾くと、もう一度立ち止まって冷静に考えるというのはなかなか難しくなる」と指摘しています。

荻原 慣れていない人ほど、「買う」というスイッチが入ってしまうと、切り替えができなくなってしまうのです。私は、いろいろな人に「まだ価格が下がるから、もう少し待ったほうがいい」とアドバイスしたことがありますが、一度スイッチが入ってしまうと、もう無理。初めての経験なので、冷静に判断できなくなってしまうのでしょう。

 また、マンション購入を煽るために国が加担していたという事実を指摘したいです。かつて、政府は景気回復のために国策として多くの国民に家を買わせようと仕向けました。結局、そのツケは耐震偽装や杭打ちデータ偽装などの欠陥マンション、ローン破綻者の増加といったかたちで表れています。

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