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江間正和「飲食業界を“数字と現場”で科学する」

共同経営はなぜ失敗する?見えなかった相手の悪い部分への不満爆発、仕事量に偏り…

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 商売に限らず人は、「自分は自分なりに」「自分の価値観に従って」行動しています。自分を悪く見せようとか、自分はがんばっていないと思いながら行動する人はほとんどいません。みんなそれなりにがんばっているつもりなのです。つまり自分のことは自分ではわからない、気づかないことが多いのです。

 でも、他の人から見たら別です。「他人のことはわかるのに自分のことはわからない」ということは恋愛話でも同じでしょう。共同経営も同じです。自分は悪くない、がんばっていると思いながら行動していると、相手の悪いところばかりが気になってくる。毎日一緒にいて売上が思わしくないと、「相手のあそこが悪い」と不満が積み上がってきます。そしてそれが不信感となってどこかで爆発し、別れることになります。

 うまくいっている共同経営の方々は、こうした問題に賢く対処しています。売上がある程度あるので、これを維持するために相手については大目にみようとか、労力に不公平感があっても労力の多いほうが寛容な心で許容していたりします。自分がなんでも許せる自信があったり、相手がかなり広い心の持ち主であったり、やはり気持ちの問題が一番大事かもしれません。

リスクの分配

 このほかに重要なのは、利益やリスクの分配をちゃんと決められるかです。明らかに労力が違えば、取り分を増減させるとか、「見合ったもの」「お互いがある程度納得できるもの」にしないと、やはり2人の関係にヒビが入っていきます。これは「利益の分配」についてだけでなく「リスクの分配」についても大事になります。

 商売はうまくいかない確率のほうが高く、軌道に乗るまで、ある程度の時間が必要です。そのとき、資金ショートしたらどうするかなど、リスクの分配についても決めておきたいものです。多くの共同経営者は「そのときになったら対処しよう」と思って始めますが、「そのとき」には商売がスタートしていて、すでにどちらかの不満や不信感が蓄積されていたり、事業の将来性も見えてきたりして、責任やリスクが大きいほうの人が離れることになるでしょう。

 それによって傷口をそれ以上広げることなく商売の終了となったり、単独経営になるのですっきりしたかたちに落ち着きますが、共同経営としてがんばり続けたいと思えば、スタート時点で今回触れたようなことに関して、じっくり話し合うことをお勧めします。

 単独で事業を開始するよりも、相棒がいたほうが安心感もありますし、1人よりは2人のほうが活動量やスピードも倍増しますので、共同経営を否定するつもりはありません。しかし、自分と同じような人はそうそういませんし、自分にとって都合が良い人もなかなかいません。2人の相性や取り決め、いろいろな要素が揃って初めて共同経営の強みが発揮されますし、続けることもできます。共同経営を検討している方は、相手について、また各種取り決めについてじっくり考えてみてください。
(文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表)

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