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任天堂が提訴のマリカー、著作権侵害は成立せず?発想は素敵だが「絶対許されない」理由

文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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任天堂が提訴のマリカー、著作権侵害は成立せず?発想は素敵だが「絶対許されない」理由の画像1「Thinkstock」より

 東京都内でしばしば目撃され、話題を集めつつあった“あのサービス”を運営する企業が提訴された――。

マリオ」をはじめとする人気キャラクターのようなコスチュームを着た集団が、車高の低いカートで公道を疾走する姿が最近、都内で目撃される機会が増えていたが、実は株式会社マリカーという企業が運営するカートのレンタルサービスであることは、あまり知られていないのではないか。

 このサービスに“待った”をかけたのが、マリオの著作権を有する任天堂だ。任天堂は24日、不正競争行為と著作権侵害行為に該当するとして、株式会社マリカーに行為の差し止めと損害賠償を求めて東京地裁へ提訴した。

 これに対しマリカーは、「複数の弁護士・弁理士の専門家に相談をし、私たちのサービスが、任天堂様に対する不正競争行為及び著作権侵害行為には該当しないと判断した上で、サービスを提供してきました」とのコメントを公開している。

 食い違う両者の主張だが、法的争点について、弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。

ブランド力に“フリーライド”

 まず、本件における著作権侵害と不正競争防止法違反について整理します。

(1)著作権侵害

 株式会社マリカーが、「お客さんにマリオやヨッシーのコスチュームを着せてマリカーで走行している写真」を、自社のウェブサイトに掲載したり、営業に使うことは、任天堂が持っているマリオやヨッシーのイラストに関する著作権(複製権、公衆送信権など)を侵害する。

(2)不正競争防止法違反

 株式会社マリカーが、「マリカー」という任天堂の有名なゲームソフト「マリオカート」シリーズに似た言葉を社名に使っていることは、一般人に対し、任天堂と関係がある会社・サービスであると誤解させることを目的としており、不正競争防止法違反(混同惹起行為、著名表示冒用行為)に該当する。

 まず、(1)についてですが、著作権侵害が認められるためには、「マリオやヨッシーのコスチュームを着てマリカーで走行しているお客さん」の写真が、マリオやヨッシーのイラストの本質的な特徴に合致しているかどうかがポイントです。

 例えば、マリオのイラストは、「M」の文字が入った赤い帽子をかぶり、赤いシャツ、青いオーバーオール、白い手袋、そして茶色いヒゲが「本質的な特徴」です。要するに、ファミコンなどで遊んだことがある人なら、「Mの文字が入った赤い帽子をかぶり、赤いシャツ、青いオーバーオール、白い手袋、そして、茶色いヒゲがあるキャラクター」と文字で書いただけでマリオとわかるくらい、これらの特徴はマリオの本質なのです。

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