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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

東芝、報じられない重大な問題…資産額不明のまま買収で巨額損失、あり得ない統治不能

文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表
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 東芝は、第3四半期決算報告の期限である17年2月14日に詳細は報告すると発表したが、それも叶わず、第3四半期決算の報告自体を1カ月延長という異例の事態となった。一部では監査法人との調整が難航しているとも報じられている。それでも東芝が、「会社側の見通し」という位置付けで発表したのが、先の「債務超過」なのである。

買収プロセスは適正だったのか?

 経緯だけでもすったもんだの東芝である。ツッコミどころ満載だが、一番のツッコミどころは、やはりのれんの額が105億円から6253億円に修正されたことである。

 のれんとは、買収額が買収先企業の純資産額を上回る額だ。買収額は変わりようがないから、変更されたのは買収先企業の純資産しかない。純資産は財務諸表に記載されているものだ。それが修正されたということは、買収先企業の財務諸表が大幅に修正されたということだ。

 会社によっては財務諸表に信頼性がないことはあり得る。だからこそ、買収時にはデュー・デリジェンスと呼ばれる通常の監査より深く多面的な監査を行うのだ。

 今回はそれが十分に行われないまま拙速な買収が行われたと考えざるを得ない。これが、東芝が言う「外部監査人の評価を得たものではありません」ということの意味なのだろう。しかも、その確定には1年もかかることが買収時からわかっていたということだ。そんな会社を買収した東芝の買収プロセスには首をかしげざるを得ない。

 今回問題になっている買収が行われた15年12月末は、東芝の不正会計が明るみに出たタイミングと一致している。今回の拙速な買収プロセスも、それと関係があるのではないかと深読みしてみたくもなる。

 そう考えてしまいたくなるほど不透明な買収をやってしまう東芝の問題は、結局のところガバナンスのあり方にある。そこをもっと問題にすべきだと思うのである。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)

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