ビジネスジャーナル > 企業ニュース > タカタ、再建交渉が完全に暗礁か  > 2ページ目
NEW

タカタ、再建交渉が完全に暗礁か…実質債務超過、創業家がいまだに影響力保持に執着

文=河村靖史/ジャーナリスト

 ただ、KSSについて自動車メーカーから不安視する声もある。救済するタカタのほうがKSSより企業規模が大き過ぎるのに加え、KSSが米国系企業ながら、現在は中国の自動車部品メーカーが親会社であるため、タカタとKSSを介して先端技術が中国側に流出すると懸念する声がある。

 外部専門委員会がKSSを推薦したのに対して、タカタの筆頭株主である創業家はこれに反発している。KSSのタカタ再建案が民事再生法による法的整理を前提としているためだ。ただ、最終候補に残っていたオートリブもタカタの経営再建では法的整理を前提にしていた。

 創業家が、潜在的な債務を持つ自動車メーカーなどの関係者間で合意する私的整理を強く主張しているのは、「スポンサー企業の傘下に入っても、創業家がタカタに対する影響力を保持することを狙っているのでは」(関係筋)との見方もある。KSS側は、創業家の力を完全に排除するとともに、経営再建に向けて透明性を確保するためにも法的整理が必要と見ている。私的整理となった場合、自動車メーカーのリコール費用の負担割合が増えることから、「法的整理でなければ、自動車メーカーの理解が得られない」との見方が支配的だ。

 タカタは、外部専門委員会のKSSの推薦を受けても、今後、自動車メーカーを含めて協議していくことになっており、再建方法について「なんら決定した事実はない」とコメント、今後も私的整理による経営再建を求めていく方針で、交渉が暗礁に乗り上げることも懸念される。

不安の種

 タカタは1月13日に米国司法省と欠陥エアバッグ問題に関して、和解金10億ドル(約1130億円)を支払うことで合意した。すでに米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)と最大2億ドル(226億円)の和解金を支払うことでも合意しており、当局との問題は一定の区切りがつき、残る大きな問題がスポンサーの選定だ。

 スポンサーの選定に大きな影響力を持つ自動車メーカーは、エアバッグのリコール費用をすでに引当済み。このため、タカタ問題については、法的整理をベースに新しい経営体制の下で、スムーズにエアバッグやシートベルトなどの自動車部品の供給を受け続けることを最も重視している。

 スポンサー第1候補のKSSは、中国系の親会社問題や、規模の小さいKSSがタカタをコントロールできるかなどの不安の種も残る。私的整理による経営再建によって影響力を保持したいタカタ創業家を、法的整理で説得するのも容易ではない。タカタ問題の解決に向けた道のりは険しい。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

タカタ、再建交渉が完全に暗礁か…実質債務超過、創業家がいまだに影響力保持に執着のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!