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「前衛的な」天丼てんや、高齢者に「優しすぎる」施策連発…店内で奇跡の光景!

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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高齢客が使いにくい店は、今後厳しくなる?

 4月1日には、団塊世代(1947年~49年生まれで700万人超)の一番下の年代(1950年の早生まれまで)が全員66歳以上となる。高齢化が急速に進むのは各種データでも説明されている。一部の店では、高齢客に提供するパンを食べやすいように小さく切るといった対応もしているが、あくまで個店での対応で、業界全体の対応には至っていない。

 菊地氏は、自社と業界における高齢客への取り組みを、次のように説明する。

「てんやでも、まだ一部のテスト店舗での取り組みもあり、いわば『仮説』段階ですが、集客効果や顧客満足度などの『検証』が進めば、グループ各社で対応店舗を増やすことになるでしょう。高齢客の外食消費は、多少の増減はあっても中長期的に伸びていく『市場変化』ですから、業界全体で、何に対してどう向き合うかも課題だと考えています」(菊地氏)

 たとえば分煙設備の設置とは異なり、前述の杖を留める専用器具は導入コストも低額なので個人経営の店でも対応しやすく、各飲食店で一気に進む可能性も秘めている。当初は障がいを持つ人を対象に始まった「バリアフリー」が、誰でも使いやすい「ユニバーサルデザイン」となったように、高齢者が使いやすい店は、全世代が使いやすい店になるだろう。近い将来、飲食店の接客は、さらにきめ細やかさを求められそうだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。昨年10月28日に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)を上梓。これ以外に『カフェと日本人』(講談社現代新書)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。
E-Mail:takai.n.k2@gmail.com

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