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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

あの一流企業だった東芝が、信じられない醜態晒し続け…相変わらず「歪んだ愛社精神」

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役
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東芝には何が残るのか

 では、今後東芝はどうなるか。 

 東芝は分社化する半導体事業について、これまでは「株式の20%程度をメドに売却して、半導体事業はグループ内に残す」としていたが、一転して過半の株式を売却する可能性を示唆している。記者会見で東芝の綱川智社長は、半導体事業を完全売却する可能性さえ否定しなかった。

 しかし実際には、東芝は株式の30~40%程度を持ち、筆頭株主の地位を確保して、残る株式を複数の企業に売却するスキームを企図していると思われる。

 東芝の半導体事業は1兆5,000億円の事業価値があるとみられている。単純な試算だが、20%の売却では3,000億円にしかならず、債務超過解消はできても磐石とはいえないが、過半の株式を売却すれば相応の手元資金が残る。しかし、できれば他社にマジョリティは渡したくない。筆頭株主として残りながら、分社化した半導体会社の株式を複数の会社に売却すれば、引き続き経営を主導できることにはなる。東芝がその可能性を探るのは当然だろう。

 しかしマジョリティがない株式にどこまでの価値を他社が見出すか、また金融機関がそれを許容するか、どちらも微妙である。東芝が描く半導体事業売却の理想的スキームの実現性には疑問符が残る。

 一方、懸案の原発事業も「戦略的選択肢を検討する」としており、縮小の方向を示している。実際にはこちらは引くに引けない状況だろう。

 東芝はすでに医療機器と白物家電も手放している。2本柱とするはずだった半導体と原発をともに縮小する方向となり、今後は鉄道システム、電池システム、車載部品、エレベータ・照明・空調などビルソリューション事業、エネルギー供給システム事業などを中核事業として生き残りを目指すことになるが、今後どこを目指していくのか。

 最も現実的なプランは、半導体事業の大半を売却して当面の資金を確保したうえで、金融機関からの継続支援を取り付け、原発事業と並行して廃炉ビジネスに取り組むというスキームだろう。福島原発の廃炉にはまだまだ時間がかかる。原発を知り尽くした東芝の知見とロボット技術はそこに生かされるだろう。公的資金も得やすい。社会のソリューション事業というスキームにも逆説的だが合致する。

 しかし原発の廃炉は国策である。政府からの資金は税金の投入を意味する。新たなビジネススキームの前に、東芝は歪んだ愛社精神をまず正してほしい。決算発表延期の理由となった東芝の「内部告発」は、その可能性がまだあることを示している。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)

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