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高橋篤史「経済禁忌録」

たかのビューティやミュゼなどを次々買収する「破天荒企業」の正体

文=高橋篤史/ジャーナリスト

 07年のこと、韓国企業が東千葉カントリー倶楽部の買収に乗り出すという一件があった。この時、韓国企業で「専務」の肩書を与えられ働いていたのはライブドアで一時、社長を務めた熊谷史人氏で、それとは別に買収交渉役で岡田剛氏という人物も動いていた。当時、岡田氏は「ユキコーポレーション」という窓口会社を設立、債権・債務の整理などを理由に韓国企業から約18億円の買収経費を受け取っていた。しかし、この買収話は途中で頓挫してしまう。結局、18億円は泡と消えてしまい、トラブルとなった。

 のちに裁判の過程などで明らかになった18億円の行方は複雑怪奇なものだが、そのなかで出てきたのが、前述した沼田氏のエイチエムワンだった。じつは沼田氏と岡田氏は以前から親密な関係にあったようだ。たとえば、沼田氏は2000年9月にも「ドリーム・インベストメンツ」なる有限会社を設立しているのだが、岡田氏ものちに取締役としてその会社に加わっている。

 カネの流れや最終的な使われ方は、次のようなものだった。ユキコーポレーションは18億円のうち4億5600万円を債権譲渡契約の名目でエイチエムワンに送金していた。沼田氏と岡田氏はそのうち2億円を現金で引き出し、権利関係調整のため関係者に対するばらまき工作に使ったとされる。その中でもカギとなったのが、ゴルフ場の有力会員で東京・四谷に事務所を構える人物だった。沼田氏と岡田氏は買収に賛同してもらうため会員のとりまとめを依頼、現金5000万円を渡したという。

 では、有力会員とはいかなる人間なのか。

「ですから、反社会的勢力です」――。15年6月に裁判で証人尋問に立った沼田氏はあっけらかんと有力会員の素性についてそう答えている。証言を総合すれば、沼田氏は有力会員について当時、貸金業を営む暴力団幹部と認識していたという。

 領収書をもらえないような先に対する現金ばらまき工作だったから、沼田氏のエイチエムワンの経理処理は杜撰そのものだった。証人尋問で法人税申告の有無について問われると、沼田氏は「ですから、帳簿上、調整しました。粉飾しました」と述べ、さらに「架空の支払を立てて支払計上しました」と手口まで告白している。結局、わずかな法人税しか納めていなかったという。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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