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フジ『嫌われる勇気』に中止要請のアドラー学会へ、専門家が疑義 「あんな抗議しなくていい」

文=森井隆二郎/A4studio
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「一般的でない見解を、テレビのような公共的な場で、あたかもそれがアドラー心理学そのものであるかのように普及宣伝されるのは、日本のアドラー心理学の啓発・普及に対して大きな妨げになると考え、本学会としては困惑しております」という理由から、抗議文の提出に踏み切ったようなのである。

 この抗議内容に関して、日本臨床・教育アドラー心理学研究会などで活動している臨床心理士である深沢孝之氏に見解を聞いた。ちなみに、前述の日本アドラー心理学会と深沢氏が所属する日本臨床・教育アドラー心理学研究会は別団体である。

「アドラーはフロイト、ユングと共に“心理学の三大巨頭”と呼ばれている存在ですが、彼らに比べると日本では知名度がありませんでした。日本にアドラー心理学が本格的に入ってきたのは、ここ20~30年の話で、それまではカウンセラーや精神科医でも、アドラー心理学をきちんと知っている人は少なかったのです。

 その状況が変わっていったのは、日本アドラー心理学会を設立した野田俊作先生の功績が大きいでしょう。しかし現在では、アドラー心理学を学んでいる団体は日本にいくつもあり、それぞれが独立して活動しています。今回、同学会がドラマに抗議をしましたが、彼らが日本のアドラー心理学を代表しているわけではありません。

 私自身は、一視聴者としてドラマを楽しんでいたので、『あんな抗議をしなくてもいいだろう』と思ったのが正直なところでした。私の周りでアドラー心理学を学んでいる仲間からは、主人公の表現の仕方などにはあれこれと意見が出ているものの、それは学術的にどうこうという話ではなく、あくまでも個人の好き嫌いの範囲です。

 ドラマとしては、原案の本に書かれていることを主人公がセリフのように口にしますから、やや不自然な部分はあるかもしれませんが、それも表現の形としてはあり得るでしょうし、間違っていないのではないでしょうか」(深沢氏)

焦点となるのは“共同体感覚”の有無?

 アドラー心理学には“共同体感覚”という用語があり、日本アドラー心理学会の抗議文においても、「他者と共同し協力して生活する能力のこと」だと言及されている。同学会は、ドラマの主人公は、この共同体感覚が乏しいと非難しているようだ。

「私がアドラー心理学の“認知論”から考えてみますと、人というのは、自分の目的に沿ったものの見方をしてしまいます。今回のドラマも、主人公のぶっきらぼうな態度が、他者への協力を欠いていると思えばそう映るでしょう。

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