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水素水に国が「効果なし」警告、業界が一斉反発で異例バトル「テストに疑義」「言語道断」

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(意見書の内容)
「文書公表後のメディアの報道内容をみると、文書に係る報道発表記者会見において、聞き手に誤解がないように十分配慮された説明が国民生活センターによりなされたかという点につき大きく疑念のあるところです。今後、文書及び文書に係る報道発表記者会見に起因して当社及び当社商品等に対する風評被害等が発生することを当社は懸念しております」

伊藤園

「疑問を感じた場合は、直接国民生活センターへ問い合わせますが、当社からその内容を公表することはございません」

「(水素水の効用について)当社は食品メーカーで、水素水も食品(清涼飲料)として販売しておりますので、効果・効能については、ご案内しておりません」

 ちなみに伊藤園のHP上で同社の水素水を見ると、高濃度であり、水素が抜けにくいことが強調されているが、効果・効能はうたっていない。売り上げへの影響は、特になかったとのことだ。伊藤園は国民生活センターへの意見書も出していない。効用を案内していないのだから、発表への異議もないということだろうか。

国立健康・栄養研究所の見解


 そもそもこの問題の発端は、昨年12月の国民生活センターによるテスト結果公表に先立ち、昨年6月に国立健康・栄養研究所が見解を発表したことだった。そこでは、水素水について以下のように書かれている。

「水素分子はペットボトルなどの容器では時間が経つにつれ抜け出てしまうため、抜け出にくいアルミパウチの容器に入れる対応がとられている。 俗に、『活性酸素を除去する』『がんを予防する』『ダイエット効果がある』などと言われているが、ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果は、健康な人が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まるとの報告がある。従って、市販の多様な水素水の製品を摂取した水素分子の効果については、体内で産生されている量も考慮すべきとの考え方がある」

 国立健康・栄養研究所は、大正9年に設立された営養研究所を前身とする、栄養と健康に関する国の研究機関だが、同機関と国民生活センターの見解、およびそれに対する各メーカーの動きについて、どうとらえればよいのか、消費者問題研究所代表で食品表示アドバイザーの垣田達哉氏に話を聞いた。

 まず、垣田氏は国立健康・栄養研究所について、次のように解説する。

「厚生労働省の外郭団体なので、同研究所の見解は、国の考え方だと思っていただければいいです。世界中の文献を調べて、そのときどきでホームページに情報をアップしています。事業者は、国民生活センターに対しては反論できますが、同研究所にはできないでしょう」(垣田氏)

 そして国民生活センターの発表の重要な点は、医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがあるので、事業者に対し表示の改善を指導するよう、消費者庁や厚生労働省に求めていた点だという。

一斉に姿を消した広告


 国民生活センターの発表によれば、健康保持増進効果等があると受け取れる、以下のような広告があったと記されている。

「水素は悪玉活性酸素のみを無害化し、水として排出する特性があります。もちろん非常に毒性の高い悪玉活性酸素である『ヒドロキシルラジカル』も無害化してくれる頼もしい存在。水素がたっぷり含まれた水素水を飲むことで、 さざまな症状や老化から身を守ることができるのです」

「水素水を飲むことで血行が良くなり新陳代謝もアップするので、発汗効果があるといわれているそうです。水素水を飲んで代謝が活発化することでダイエット効果も期待できるといわれているよ!! 」

「水素水を摂取すると、水素水に多く含まれて いる水素が体の中の活性酸素を排除し、活性酸素が引き起こしていた老化や様々な生活習慣病、がんなどの様々な病気の予防や治療に効能効果があると期待されています」

「水素が体の中の体に害のある酸素を選んで無毒化する働きがあることが2007年にネイチャーメディシンで最初に発表され、以降世界中で様々な研究が行われ、300報を超える論文で発表されてきたからです。この水素水に含まれる水素の働きにより、体に害のある酸素が引き起こしていた様々な病気の予防や治療に期待され、現在も様々な研究機関がさらな る発展的な研究を重ねているのです」

 これらの表現は、国民生活センターの発表以後、姿を消した。

「不当な表示をしていた場合、5000万円以上の売上がある企業は、景品表示法違反で課徴金を取られるため、事業者はそちらのほうが怖いのです」(垣田氏)

 回答してくれた事業者のうち、日省エンジニアリングは以下のように水素水の効用を述べた。

「国民生活センターは、その効用効果については一切表示してならず、研究機関が公表した内容や、当社独自の大学との共同研究の記載もしてはならない。つまり単なる水として販売しなさいとの事で、健康でいたいなら薬やサプリメントを飲めと言うことですので効用効果については述べることはできません。しかしながら、弊社は水素水生成器を販売して5年以上経過しており、その間数多くのお客様からその様々な効果について数多くの声が寄せられており、弊社としましても何らかの効果があるものと信じております」

「何らかの効果」という、きわめて遠慮がちな表現だ。

「結局、同じ土俵に上がってないんですよ」(垣田氏)

 実証的なデータを掲げて、「水素水には効用がある」と言うのではなく、水素濃度に関するテストに関して異議を唱えているので、本質の部分で噛み合っていないというのだ。
 

日本水素水振興協会の見解


 日本水素水振興協会という機関がある。2月の事務局だよりとして、国民生活センターのテストに対して、以下のように問題を指摘している。

(1)水素濃度測定器は、少なくとも5社の性能を比較し、専門家の意見を聞いた上で測定に使用するべきだったのではないでしょうか

(2)水素水の濃度について国家基準がないので、仮の基準を定め、その根拠を示すべきだったのではないでしょうか

(3)いきなり19社の水素水濃度を測定するのではなく、相談事例の内、苦情事例が多かった企業にデータ提出を求め確認すべきだったのではないでしょうか

(4)薬事法に抵触する恐れのある企業については厚生労働省か消費者庁に任せるべきだったのではないでしょうか

(5)水素水の相談件数は2011年から2,260件寄せられているが、その内、苦情件数が何件あったのか、かつ内容を明らかにすべきだったのではないでしょうか

(6)調査対象企業は売れている企業でなく、苦情件数の多い企業を対象にすべきだったのではないでしょうか

(7)水素濃度測定は、調査対照製品の取り扱い説明書を確認の上、測定すべきだったのではないでしょうか

 同協会に問い合わせて聞いたところ、国民生活センターにアクションを起こすことは考えておらず、自衛のための戦略セミナーを行う、とのことだった。

 また事業者からの異議に対して、国民生活センターに質問したところ、追加のテストや発表の修正は行う予定はないとの回答であった。

 そして今回、前述のとおり、ついに消費者庁が「著しい痩身効果が得られるかのような表示をしていた」ことが、景品表示法違反に当たるとして措置命令を出すに至ったわけだが、これまで行政に対し強い姿勢で反発していた各メーカーがどのような対応をみせるのかが注目される。
(文=深笛義也/ライター)

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