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アスペルガー症候群の真実…東大など高学歴な人に多い説は本当か?専門家が解説

構成=青柳直弥/清談社、編集部
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「僕は自覚があったので、診断されても何も思わなかったけれど、自分がASDだという自覚がまったくない人もいます。具体例としては、本人に悪意はまったくないのですが、女の子に対して『最近太ったね』とか平気で言ってしまうのです。太ったこと自体は厳然とした事実で、間違ったことは言っていないわけですが、『それは言ってはいけない』というルールをASDの人は理解できないのです。

 また、他人にアスペルガー症候群呼ばわりされたら、その人が傷つくということが想像できないのも特徴です。僕が大学院に通っていた頃、東大の中央食堂で工学部の学生たちがご飯を食べながら『おまえアスペルガーだよ』『おまえのほうがアスペルガーだろ』『いや、こいつが一番アスペルガーだよ』って楽しそうに談笑していた姿を見ました。その場に実際にアスペルガー症候群の診断を受けた当事者がいたら傷つくのではないかという想像力が欠如しているのです」(同)

 一方でアスペルガー症候群は、何かと引き替えに何かの能力が高いという傾向があるのも特徴で、「コミュニケーション能力は低いが、学習能力は高い」という人も少なくない。だが萩原氏は、その典型例として東大生を引き合いに出しているわけではない。

 萩原氏は、「『東大にはアスペルガー症候群の疑いがある人が多い→アスペルガー症候群の人は学力が高い→学力が高い人はアスペルガー症候群』というのは飛躍しすぎ。アスペルガー症候群の人は概して集中力が高く、また好きなことはとことん突き詰めるから、うまく受験にそれらがハマった人たちが多いのではないかと思う」と持論を述べる。

 さらに、東大に入って一番驚いたのは、「ASDに対する重厚なサポート体制があること」だという。これは東大が2010年に立ち上げた「コミュニケーション・サポートルーム」を指しているという。

「僕も興味があったので行ってみましたが、悩みを共有している者同士の昼食会や、あるいはカウンセラーが話を聞いてくれたり、そこからさらに医師を紹介してくれたりと、かなり対応が手厚いのです。だから、東大がASDのある人にすごくやさしい大学であるのは間違いありません」

みんな多少なりともASDがある?

 萩原氏が東大にASDの人が多いと思ったもうひとつの理由は、東大に代々伝わる「書き起こし文化」の存在だという。

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