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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第7回 村上清貴氏(村上農園社長)前編

決められたことをやらない「農業=脳業」企業の唯一無二経営!生産センター倒壊から奇跡の急成長

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

決められたことをやらない「農業=脳業」企業の唯一無二経営!生産センター倒壊から奇跡の急成長の画像2豆苗を生産する村上農園の山梨北杜生産センター (村上農園提供)

片山 昨年まで5年連続の増収増益ですが、社長就任以来、ずっと順調だったわけではない。むしろ苦労の連続だったと聞いています。

村上 私は93年に、創業者である秋人に請われて村上農園に入社しました。当時の売上高は20億円程度でした。売上高はその後、97年に「O-157」の風評被害で10億円を割っています。

 私が社長に就任したのは07年です。そこから4年間、雌伏の時期が続きました。売り上げが伸び始めたのは、山梨北杜生産センターが稼働を始めた翌12年からです。

片山 山梨北杜生産センターは、村上さんが社長になって初めて新設した生産センターです。この稼働が、業績拡大のキッカケになったわけですね。

村上 そうですね。営業ががんばっても、生産能力がなければ売り上げは伸びませんからね。さらなる成長を目指して、現在、北海道、東北、関西の3カ所で植物工場設置計画を進めています。5~6ヘクタールの適地を探しているのですが、実はこれだけの広さの条件に合う土地は限られます。それでも、順調にいけば今年中に3カ所ともメドが立ち、約2年後には稼働できます。

片山 5~6ヘクタールとは、植物工場にしてはかなりの広さですね。

村上 当面の需要はないかもしれません。が、今後スプラウトや豆苗以外の新しい品種のビジネスを展開することを考えれば、まとまった面積が必要なんです。

徹底した社内改革

片山 社長就任の07年以降、11年までの雌伏の時代は何をされていたのですか。

村上 品質管理を徹底する社内改革です。全国の村上農園の商品の品質を一定にする取り組みをしていました。当時、生産センターは全国に7カ所ありました。広島、千葉、湯来(広島県)、大井川(静岡県)、四日市(三重県)、福岡、小田原(神奈川県)で、かいわれ大根や豆苗、スプラウト類を生産していたのです。そもそも、全国各地に生産拠点を設けている農業法人は非常に少ない。場所によって気候が違い、気温や湿度などの環境、成長に要する時間、必要な設備などあらゆることが違ってくるからです。

 当初は、生産センターごとにかいわれ大根やスプラウトの長さや太さがバラバラなのは、仕方がないと考えていました。しかし、1つのスーパーに2つの生産センターから商品を届けたとき、中身の品質が違うのは困ります。そこで、村上農園ブランドのスペックを決め、全センターの品質統一を図りました。植物ですから、どうしてもわずかなバラつきは出ますが、品質統一を目指すのと目指さないのとでは、まったく違います。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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