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ジャーナリズム

ツタヤ図書館、利用者にTポイント付与&会員情報をCCCへ送信が発覚…市議会に波紋

文=日向咲嗣/ジャーナリスト、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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Tポイント情報の外部送信は協定違反?

 高梁市議会の答弁で、教育次長が「採用しない」と明言していた「貸し出し時のTポイント付与」を、ツタヤ図書館が行っていたという行為は、CCCと高梁市が交わした契約に違反している可能性はないのだろうか。

 そこで筆者は、高梁市がCCCを指定管理者に決定後、両者が交わした「基本協定書」の写しを関係者から入手して、この件に関係しそうな条項を調べてみたところ、以下のような文言が見つかった。

「Tカードを利用する者から取得する図書館利用に関する情報を、図書館利用の目的を超えて第三者に提供してはならない」

『高梁市図書館の管理運営に関する基本協定書』付属・ 『高梁市図書館業務仕様書・個人情報保護に関する別記事項』34ページより



 言葉通りに読み取れば、「Tカード番号」「利用登録の有無」「利用日時」の3つの情報を、受注者であるCCCがTポイントジャパンに提供している時点で、この条項に違反している可能性があるように見える。だが、「これはカードの有効性を確認するためだけに行っているので、『図書館利用の目的』の一環」といった主張も成り立ち得る。

 しかし、それら3つの情報に加えて「ポイント数」まで提供することは、「『図書館利用の目的』の範囲内」とはいいづらいのではないか。

 利用者に付与されるポイントは、もちろん市がCCCに払う指定管理料から出る。つまりは税金だ。高梁市がCCCに依頼しているのは図書館運営であって、それとはまったく関係ない私企業のポイント事業への支出は、理由のない利益供与にあたるので即刻やめるべきだと主張する図書館関係者もいる。

CCCの最終目的は貸出履歴情報の取得?

 このTポイント付与の制度は、協定違反、ひいては違法行為に該当しないのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は、次のように解説する。

「確かに、『図書館カードとして使用しているTカード』が有効かどうかを問い合わせるために情報(Tカード番号、利用登録の有無、利用日時)をTPJに送る、というCCC側の弁明は筋が通っていると思われます。

 また、そもそものTカード」の目的は、『お買い物の際にその情報(どんなタイプの人がどんなお買い物をするか)を集めてビッグデータとして利用する』ことなので、肝心の『貸出履歴(どんな人が、どんな本を借りているかという情報)』が提供されない以上、本来のTカードの目的を達成していない状態です。

 では、なぜCCCがポイントを付けようという動機を持ったかですが、要するにTカードを図書館カードとして登録・利用してもらい、それをもってTカードの普及枚数を稼ぐための『広告戦略』または『おまけ戦略』なのでしょう。

 こうやって『おまけで釣って、Tカードユーザーを増やす』――これが動機と思われます。
しかし、『Tカードを図書貸出カードとして登録して、図書館に行けばポイントがもらえる』となれば、図書館利用者も増えますし、この点は高梁市側も文句は言えないところです。

 ところで、違法、協定違反の可能性についてですが、『図書館カードとして使用しているTカード』が有効かどうかを“問い合わせる”ためであれば、『Tカード番号』と『利用登録の有無』だけ送れば足りると思われるので、『利用日時』までTPJに開示する必要はないかもしれません。また、『どのくらいのポイントを持っている人が、図書館を利用しているのか』も把握されてしまいますし、『ポイント数』情報も開示する必要はなさそうです。しかし、このことが即ち違法、契約違反となるかどうかは正直、なんともいえません。

 少なくともCCC側は、最終的には『貸出履歴(どんな人が、どんな本を借りているかという情報)』が欲しい、と考えていることは間違いないでしょうから、ここら辺がなし崩しにならないように監視していかなればならないと思います」

 議会を軽視し、勝手にTポイント制度を導入したCCC。始まったばかりの高梁市図書館の運営だが、果たして今後、軌道修正して正常化できるのだろうか。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士