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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第7回 村上清貴氏(村上農園社長)後編

豆苗で世界を制す!地方の一農業ベンチャー・村上農園が海外展開加速…世界一の技術確立へ

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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村上 野菜のマーケットは、大きく2つあります。ひとつは家庭で消費されるもの。もうひとつは、外食・中食産業が使用する業務用食材で、規模はおおよそ半々です。当社はこれまで、主に家庭向けを扱ってきたので、業務用の分野を開拓したい。つまり、レストランや中食向けの商品を展開したい。ただし、生産ノウハウが十分にありませんので、世界最先端の会社と提携しようということで、コッパート・クレス社と提携しました。

 コッパート・クレス社とは、クロスライセンス契約を交わしています。彼らはオランダをはじめ欧州で、主に高級レストラン向けにさまざまなマイクロ・ベジタブルを生産販売しています。一方、B2Cビジネスのノウハウはない。そこで、互いのノウハウを提供し合うことにしたんです。

片山 提携後、ビジネスはうまく進んでいますか。

村上 14年に、山梨北杜生産センターで新商品の生産を開始する予定でしたが、雪害で生産センターが大きな被害を受け、計画が1年遅れました。今年1月から、「オイスターリーフ」という牡蠣の風味のする葉の出荷をスタートしています。今夏をめどに、一気に成長させる考えです。

片山 村上農園は、森の香りがする葉っぱとか、チョコレート味の葉っぱとか、変な葉っぱをたくさん研究されていますよね。まずはオイスターリーフで先陣を切るというわけですね。新市場創出を狙うわけですが、変わった味や色形をした葉っぱの市場は、拡大しますか。

村上 ええ、拡大します。ヨーロッパのトップから中級以上のレストランでは、今、伝統的な料理を抜け出し、フュージョン、すなわち融合した新しい料理を出すお店が増えています。これは世界的な潮流になりつつあり、日本もその流れのなかにある。

 たとえば、フランスの有名レストランは保守的でしたが、近年、スペインなどから新しいシェフが出てきて脚光を浴びています。赤、黄、紫など色合いの美しい食材を使い、盛り付けによってお皿をデザインしたり、新しい味や食感を求めている。コッパート・クレス社は、この流れに乗って成長しています。

片山 国内でも、レストランの料理の「インスタ映え」をはじめ、「美しく見せる」ことを重視する傾向は、確かに感じます。もともと、日本はシソや紅タデといったツマモノや季節の花で皿を飾る文化があります。コッパート・クレス社も日本のツマモノ野菜にヒントを得て、マイクロ・ベジタブルの市場を欧州で開拓しました。村上農園は紅タデにルーツを持つ会社です。可能性はありますね。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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