
元大統領まで整形手術を受けたことを公表した韓国ほどではないが、日本でも「プチ整形」という言葉が定着し、美容外科クリニックを訪れるハードルは年々低くなっている。
二重まぶたにしたい、鼻を高くしたい、口角を上げたい、胸を大きくしたい、脱毛したい――美しさの追求の気概は男女問わず高まり、施術したことを隠さない芸能人もいる。
さらにヒアルロン酸注射、ボトックス注入などはメスを入れないこともあり、ますます気軽に美容外科クリニックを訪れることができるようになった。
しかし、実際のところ、明らかな効果を得られるのだろうか。
こんな疑問に答えるかのような研究が、3月16日付「JAMA Facial Plastic Surgery」に掲載された。年齢とともにたるんでくる頬や額を引き上げる施術「フェイスリフト」に関する客観的な調査だ。
第三者が「若返った」と評価するものの……
米ジョンズ・ホプキンス・メディスン(ボルチモア)准教授のLisa Ishii氏らの研究によれば、フェイスリフトに使う時間や費用、痛みには、それだけの価値がある可能性のあることが示唆されたという。
ただし、通常のフェイスリフトでも「必ず効果がある」といえるわけではなく、形成外科医が「最高の出来だと考えるもの」の場合であり、その費用は不明である。
研究には、ボルチモア地域の顔面形成外科医5人からフェイスリフトを受けて「最適な」結果になった女性16人が協力。手術から6カ月以上経過して撮った写真を提供してもらい、そのうち13人を被験者として選択した。平均年齢は58歳である。
Ishii氏らは、オンライン調査の参加者483人に被験者の「術前」と「術後」の写真を見せた。参加者の80%近くは女性で、75%は白人、平均年齢は29歳、非常に高い学歴を持ち、約3分の1は修士号または博士号、その他の60%は4年制大学を卒業していた。
調査の結果、被験者の平均年齢は「術前」では60歳と推定されたが、「術後」では56歳に低下した。また、「魅力」「見た目の成功度」「見た目の全体的な健康度」を1~100点で評価してもらったところ、「術後」の写真のほうが高く評価された。
「術前」「術後」の写真で、「魅力」は49点から57点、「見た目の成功度」は58点から63点、「見た目の全体的な健康度」は55点から64点に、平均点が上昇した。
しかし、「フェイスリフトをして私も若返りたい!」と考えるのは早計だ。この調査は、あくまで形成外科医が「最高の出来」と自画自賛する症例を見比べてもらったものだ。さらに、費用が不明という点も気になる。
レポートの結果も、「最適な結果になった」女性の見た目年齢が4歳若返った程度で、評価項目も5~9点の上昇と、正直微妙である。かつての人気番組『B.C.ビューティー・コロシアム』(フジテレビ系)ような劇的な変化を期待してはいけない。