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江川紹子の「事件ウオッチ」第76回

江川紹子がフェイクニュース騒動を検証…産経新聞の「辻元清美の3つの疑惑」に異議あり!

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 しかし、産経新聞からは何もない、という。私は、Aさんの話を聞いた後、それを紙面に反映しているかどうか探してみたが、見つからなかった。Aさんも、同社から何も聞いてないという。

 私は、記事を書いた産経新聞政治部に「(1)Aさんが語っている経緯は事実か」「(2)事実とすれば、なぜ事前に確認取材をしなかったのか」「(3)辻元氏との関係を否定したAさんに対する取材結果は、いつ、どのような形で報じたのか」を問い合わせた。

 しかし、広報部から届いたのは、いずれの問いについても「個別の記事や編集に関することにはお答えできません」と、まるで森友学園問題における財務省の国会答弁のような回答だった。

安倍首相が「疑惑」報道を引用して“拡散”

 事実でない情報を流布した時には、それを速やかに正すのは、Aさんや辻元さんら当事者らだけでなく、読者に対する義務でもあろう。ところが産経新聞には、そういう姿勢も欠けている。それどころか、民進党からの抗議を受けて、政治部長が「民進党の抗議に反論する? 恫喝と圧力には屈しない」と、なんとも力み返ったタイトルの主張を発表し、記事掲載を正当化した。事実に対する謙虚さが感じられないうえ、現実を見つめることなく、ひとりエアバトルを演じている様は滑稽ですらある。いったい今の民進党が、メディアにどんな「圧力」がかけられるというのだろうか……。

 当初、多くのメディアが、諄子氏のメールを抜粋して紹介する際に、辻元氏のくだりを省いたのは、信憑性が疑わしい情報と判断したからだろう。あたかも、メディアが民主党を「忖度」したかのような言い回しには、辻元氏の「疑惑」が、昭恵氏の関わりが行政の「忖度」を招いたと野党が批判している森友問題と同じくらい重大な問題と錯覚させる狙いが透けて見える。

 産経新聞がこの記事を掲載したのは、参院決算委員会に安倍首相が出席し、テレビ中継が行われる日だった。

 民進党議員が「籠池氏は『昭恵首相夫人から100万円を受け取った』と言っているが、否定する根拠は何か」と質問したのに対し、安倍氏は、この産経の記事を引き合いにし、次のように答えた。

「御党の辻元議員との間にも同じことが起こっているじゃないですか。辻元議員は、(諄子氏の)メールの中で書かれていたことが、今日、産経新聞に『3つの疑惑』と出ていましたね。これ、一緒にするなとおっしゃってますが、そんなことがなかったと辻元議員は真っ向から否定しているわけであります。(100万円を否定する根拠を求めるなら)これも証明しなければいけないことになるわけであります」

 この首相発言が、辻元氏嫌いのネット住民を勢いづかせた。SNSには、辻元氏の「疑惑」は森友問題における昭恵氏の関係より重要だとし、辻元氏の弁明を求めるコメントがあふれた。

 辻元氏は、記者会見を開いてメール内容を否定したり諄子氏を批判することはせず、民進党の出した見解を自身のサイトに掲載して、デマ情報への注意喚起をするに留めた。その理由について、辻元氏はこう説明している。

「個人間のメールのやりとりの中で、公表されたら誰かの名誉毀損になるような内容があっても、『辻元死ね』とか悪口が書いてあっても、それは内心の自由の問題でしょう。そういうのに、国会議員が『これはダメ』『これは嘘』と言うようなことはしたくなかった」

 この謙抑的な対応を、辻元叩きをしている人たちは「答えられないのか」と都合よく解釈して、妙に自信を深めたようだ。ますます居丈高な物言いが、ネットの中を飛び交った。

 ネット上で交わされる発信者不明の言説も、新聞がそれなりの体裁を整えて記事に仕立てれば、情報の「確からしさ」がアップし、怪しげな陰謀論もいっぱしの「疑惑」に格上げされる。その記事を、首相がテレビ中継されている国会で話題にし、あたかも「疑惑」が現存するような印象を多くの人たちに広げる。それによってネットの世界では、情報はオーソライズされたように受け止められ、当事者が謙抑的な対応しているのをいいことに、さらに拡散されていく。

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