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吉田潮「だからテレビはやめられない」

残念な方向に自ら突進するフジテレビのドラマだが、実は深夜枠が超おもしろい

文=吉田潮/ライター・イラストレーター

 フジテレビのドラマについて、3つ思うことあり。

 まず、プライムタイムのドラマはなんだかもう、どうしたらいいのかわからないというか、残念な方向へ自ら突進している作品が多い。「あら、おもしろいじゃない!」と思うと、だいたいカンテレ(関西テレビ)制作か、東海テレビ制作だったりする。フジテレビ本体がつくったものじゃないのだ。

 でも、深夜枠やCS系では案外おもしろい作品の宝庫だ。1月期でいえば、『ラブホの上野さん』『クズの本懐』『きみはペット』の3作品。いずれも原作があるし、リバイバル作品もあるのだが、私自身は新鮮な感覚で楽しんでいる。キャスティングもスタッフも若手なのかな。もちろん規制がゆるい枠だから、というのはあるだろう。でもこれらの作品が案外知られていないのは実にもったいないなぁと思う。

 もうひとつ、フジテレビは意外と新人発掘枠というか若手育成枠にも力を注いでいる。

「フジテレビヤングシナリオ大賞」や「ドラマ甲子園大賞」といった賞を設け、常にドラマ界に新風を吹き込む努力を続けているのだ。年末に放送した『俺のセンセイ』(エレファントカシマシの宮本浩次主演)もロックでダメ感満載のテイストがおもしろかったし、4月5日には『十九歳』(岸井ゆきの主演)も放送予定で、今からちょっと楽しみである。そう、フジテレビ、今は嫌われてはいるけれど、ドラマ好きの好奇心を断続的に刺激してくれているのは確かなのだ。

 そして、なんといっても劇団「ヨーロッパ企画」の世界観をごく不定期に放送してくれるのもフジテレビだ(よく見たら、共同テレビだったんだけど)。数年前『ヨーロッパ企画の26世紀フォックス』(上野樹里主演)なるドラマを観て、えらく感動したことから私も虜になっている。

 3月27日には待望の新作『ストリートワイズ・イン・ワンダーランド』(安藤政信主演)が放送された。一時期テレビドラマからは姿を消していたが、昨年あたりから復活し始めた安藤に、久々に身悶える女性も少なくなかったと思いたい。また、今回は戸塚純貴、伊藤沙莉、菅原永二の実力派俳優たちを巻き込んで、ゆるい、このうえなくゆるふわなSF系探偵ドラマに仕上がっていた。ヨーロッパ企画の俳優陣の丁々発止がおかしくて。

 結論としてはフジテレビの深夜枠ドラマに刮目せよ、っつうことだ。たぶん頭の固い、あるいは感覚の古い上層部が軽視しがちでノーマークの深夜枠だからこそおもしろくなっている、という話でもある。いやあくまでも想像なんだけどさ。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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