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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

親の介護で、家族・親族間が呆然絶句の醜い争いの現実…無知な素人だけの話し合いで地獄

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表、保険・介護・医療ジャーナリスト

親族が元気なうちから話し合い

 では、こうしたトラブルを回避するためには、どうすればよいのだろうか。

 第一に、「後の喧嘩、先にする」との諺通り、介護トラブルを回避するためには、トラブルの発生や、場当たり的な解決を行ってミスリードをしないことが望ましい。そのためには、親族が健康なうちから親族間の話し合いをすることが非常に重要だ。

 とりわけ、マイホームの処分や建て替え、リフォームの問題は、後になるほど決断を鈍くさせたり、売却のタイミングを逃してしまう。資金面の都合から、できれば末子が社会人になったり、子供が結婚した時、あるいは子供が40代前半までに“終の住処”について考えたいところだ。

 第二に重要なのは、介護問題は、理解がある勤務先でもサポートに限界があることを認識することだ。いくら企業が従業員の介護問題を憂い、体制を整備したところで、介護に派生する従業員の親族間のトラブルや事情、不動産や金融資産問題は、それぞれの家庭の事情となるからだ。

 第三に、失礼ながら、特に給与所得者は、個人事業主や経営陣と違って、よほどのことがなければ法律や税務の相談には日頃縁がない。相談慣れしていないことから、その分野の知識が不足しているということを十分に認識することだ。

 介護は住居問題だけでなく、金融関係、後見人、遺言書など、いやおうなしに法律、税務、不動産、金融問題に直面することになる。いきなり、法律、税務、金融問題が降りかかり、何がなにやらわからなくなるというのが実情だ。親族の中に、弁護士や税理士や不動産関係者、金融関係者がいれば別だが、誰もいなければ、それらを解決しなければいけないことにすら、気がつかない。また、どこに相談に行っていいのかさえ、わからない。素人対素人の話し合いでは、ミスリードの情報の共有だったり、誤解したままになりかねない。

 第四に、介護も症状が進むにつれ、精神的・肉体的な疲労が蓄積されることを覚えておきやい。傍目からみれば、「たいした介護をしていなかったのに」と思う介護の世話も、高齢者に1日3食、規則正しく食事を食べさせたり、病院などの付き添いもあると時間的拘束が多くなる。高齢親族の予定を中心に1日は回るため、自分のことは後回しにしなければならない。

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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