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シャープ、中から綴られた「崩壊1311日」の全貌…東芝と共通する大企業の異常な内幕

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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 米原子力発電事業で7000億円以上の損失を計上し、2016年度末時点で債務超過に陥る見通しとなった東芝。3月29日、米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)が米破産法11条の申請を行い、翌30日に東芝は臨時株主総会を開き、半導体メモリー事業の分社化を決議、了承を受けた。

 WHの再生手続きの開始により、東芝は親会社保証関連の損失や貸倒引当金を計上。この結果、16年度の最終赤字は前回予想の3900億円から1兆100億円に膨らみ、16年度末の債務超過額は6200億円(前回予想1500億円)になるとみられている。

 一方で半導体事業の株式売却で1兆5000億円から2兆円の収入を見込んでいるが、再建の行方はいまだ不透明。再建がうまくいかなければ公的管理になるのではないかといった見方も出ている。
 
 東芝は15年に不正会計が発覚し、社長を含む8人の取締役が退任、当時会長だった室町正志が暫定的に社長に就任、同年12月には事業売却などを含む「新生東芝アクションプラン」を発表。テレビを除いた家電事業、東芝メディカルシステムズなど主力事業を次々に売却し、16年3月末までに1万4450人をリストラ、難局を突破しようと躍起になったが、同社史上最悪の7087億円の営業赤字を計上した。

 そこで東芝の指名委員会は、粉飾とは関連性の低い非主力部門出身の綱川智社長を16年6月に社長に据え、企業文化を抜本的に見直して再スタートを切らせるつもりだったが、15年末にWHが買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)で数千億円規模の簿外債務が発見された。

 東芝は巨額債務を解消するため、「重電部門」や「社会インフラ」と共に3本柱に据えた「半導体のNAND型フラッシュメモリー」まで売却する羽目となり、日本を代表する総合家電メーカーだった東芝は土俵際まで追い詰められている。

 なぜ名門企業がここまで最悪の事態を招いたのか。その背景には重電や半導体、パソコン部門の割拠主義と権力闘争、隠ぺい主義、殿様意識といったものが見え隠れする。

 しかし、そうした体質は何も東芝だけのものではない。経営危機に陥っている大企業のなかには、同じような構造が隠されている。16年に債務超過に陥り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループの傘下に入ったシャープと比較すると、大企業のゆがんだ素顔が浮き彫りになる。

『シャープの中からの風景 シャープ社員がブログに綴った3年間』 あのシャープの経営危機の中で大きな注目を集め、鴻海の出資後に幕を閉じた、 ブログ『シャープの中からの風景』("ライブドアブログ OF THE YEAR 2016"話題賞)の書籍化! 2013年1月、空席が目立つようになった職場の風景にかき立てられるように、 ひとりの社員がブログをひっそりと書き始めた――。 シャープという巨船が沈みかけたとき、社員はいったい何を思ったのか? 大きく揺れるシャープの内側から見たこと、考えたことを当事者がリアルに綴った、 すべての会社員にとって他人事ではない話題作。 amazon_associate_logo.jpg

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