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沢尻エリカの熱演が白々しいほど空回り…『母になる』、事故並みにダラダラ&つまらない

文=米倉奈津子/ライター
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 まず1つ目が、誘拐事件発生直後に、沢尻が泣きながら自身を責める長回しのシーンだ。沢尻は事件発生直前、同窓会に出席するため故郷の北海道に帰省するのだが、その際に広のことを忘れるくらい楽しく、ふと子供のいない生活に想いを馳せてしまったことの罰として、広がいなくなってしまったと、泣きながら悔やむ。涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら長台詞を語る沢尻の好演を思わず見入ってしまい、気がつけば私も涙を流していたほどだ。

 そう、沢尻は立派な演技派女優なのだということを、今回改めて私たちは認識したのではないか。2012年に主演を務めた映画『ヘルタースケルター』では、破滅の道をたどる芸能界トップスターの役を演じきり、共演する桃井かおりや原田美枝子らベテラン女優と互角に争うほどの怪演をみせ、「女優・沢尻エリカ」を映画界に知らしめた。そして14年の連ドラ『ファーストクラス』(フジテレビ系)では、沢尻の良さが発揮されていなかっただけに、体当たりで息子との関係構築に挑む『母になる』では、存分に沢尻の良さが引き出され“当たり役”になることが期待できるのだが、とにかくドラマが事故並につまらないため、迫真の“泣きの演技”も空回り感が否めず、白々しく感じてしまう。

 そしてもう一つの見どころは、誘拐事件後9年間にわたって実質的に広の母親役だった門倉麻子を演じる小池栄子だ。門倉は30代くらいのみすぼらしい女性で、寂しく地味な独り身生活を送っていることが画面からは推察されるが、終始“目がイッて”いるのだ。偶然にも広が監禁されていたアパートの部屋の隣に住んでいたことで、広を発見するのだが、煌々と白い蛍光灯が灯る部屋で、一人正座してコンビニ弁当と缶ビールをかき込む小池は、まさにホラーだ。

 なぜ、そしてどのように門倉は9年間にもわたって広を自身の子供として育ててきたのかは第1話では不明だが、今後沢尻と対立関係に入っていくことが予想され、2人の演技派女優のバトルは、同ドラマの見どころのひとつになるだろう。

 しかし、第2話以降も気の抜けたコーラのようなドラマが続いていくのであれば、視聴率的には苦戦が強いられるかもしれない。そんな予感が的中してしまい、『母になる』が沢尻の女優としてのキャリアを傷つけてしまわないことを、願うばかりである。
(文=米倉奈津子/ライター)

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