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博報堂、国勢調査告知で「間引き」疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か

文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者
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 国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。

 この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。

 2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。

 筆者がこの事実に気づいたのは、情報公開請求によって入手した国勢調査の契約書・見積書・請求書の3点と、国勢調査が行われた時期の政府広告を丹念に精査した結果だった。このような調査を始めた動機は、別件取材のなかで博報堂の業務に強い不信感を持ったからである。

 たとえば15年12月8日付産経新聞(電子版)は、岩手県の大槌町が、東北博報堂(仙台市青葉区)に依頼した大震災の記録誌編集事業の契約を解除したことを伝えている。その原因は、「納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌としての完成度は低く、いったん期限を11月末に延長。9月には一部の文章で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚した」(同紙より)からである。

 また、16年3月23日付朝日新聞(電子)によると、岩手県の施設、いわて県民情報交流センターを管理している東北博報堂など4社が、アルバイトを使って入館者数を水増していたことを報じている。

契約回数に未達

 博報堂と総務省の契約書によると、国勢調査は、次のような時系列のステージで実施されることになった。

(1)国勢調査実施の告知期間(平成27年7月1日から8月31日まで)

(2)調査関係書類配布の告知期間(同年9月1日から30日まで)

(3)インターネット回答実施の告知期間(同年9月1日から16日まで)

(4)インターネット未回答者の回答促進期間(同年9月17日から20日まで)

(5)回答促進期間(同年10月1日から7日まで)

(6)未回答者の回答推進期間(同年10月8日から20日まで)

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