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思いもよらぬ展開
まず、“美都の寝言事件”をきっかけに、それまでのムードから一転してホラードラマに切り替わり、さらに“いい人”だった涼太が、実は“ヤバい超束縛男”だったことが判明した瞬間の驚きといったらない。視聴者側としては、笑ってしまうほどの“梯子の外され”感を味わう。
そして、「こんな美しい風景を見たよ」「こんなランチを食べたよ」「こんな良い感じの喫茶店を見つけたよ」と執拗にメールを送りつける涼太、あまりの恐ろしさに視ていて思わず「ひえ~~」と悲鳴を上げてあげてしまった。
しつこいメール攻撃を受ける美都は、勤務するクリニックの院長に「ただ『こんな良いことがあったよ』って報告です。幸せコレクターなんですよ、彼」と言うと、3度の離婚経験がある歯科医は、神妙な面持ちで、こうつぶやく。
「それは、しんどいね」
たしかに美都は、徐々にしんどそうになっていく。そして、昼食に幕の内弁当を選んだ美都に向かって、院長はこう諭す。
「いろんな味をちょっとずつ、というのは、もうダメ。これが一番美味しい、って信じて決めるのが、結婚だからね」
すると美都は、はっと何かに気がついたような、気が付かないような、一瞬雲がかかったような表情を見せる。ほんの短い間の美都と院長のやりとりだが、“寝言事件”以前までの軽妙な恋愛ドラマが嘘のように、突然時間が止まったような、時空がひん曲がったような映像は、まるで美都の人生の破綻の幕開けを告げるかのように、不吉な予感を漂わせる。
そして実際にその直後、美都は有島と再会し、夫を裏切る行為に出る。
思いもよらぬ展開は、かなり異色のドラマといえ、よくできていると素直に感じた。
違和感
が、しかしだ。最大の難点は、美都がバカ女すぎて、まったく感情移入できないという点だ。