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椎名民生「不動産ビジネス最前線」

1万円で買えるマンション登場…2DK・44平米、サウナ付き大浴場も

文=椎名民生

管理組合が競売にかけ、自ら落札

「売却基準価額1万円」物件は、管理組合主導の競売のケースでは、価格が崩壊したスラム地域のマンションではなく、築20年、30年と時代を経るにつれて、管理費を高額滞納する所有者が出てきたために、管理組合が率先して競売に出しているという事情もあるのだ。

 管理組合が自ら落札した部屋の多くは、滞納分を帳消しにして新たな購入者を探すことになるという。競売と同様に増加しつつあるのが、「公売」だ。公売とは、国(国税局、税務署)が差し押さえた財産を、入札などによって売却する制度のことだ。

「管理費を滞納しているケースでは、固定資産税も滞納しているケースがほとんどです。抵当権や滞納税の納期の関係があり、一様に公売を利用できるとは限りませんが、固定資産税の滞納などの差押がある場合には、管理組合の一般債権(管理費の滞納)での差押より税金が優先するため、管理組合では手出しができず、役所と調整して公売を促しています。ただし、公売の前提として、新しい買い主を見つける必要があります」

 このように語るのは、越後湯沢のリゾマン事情に詳しい西込明彦弁護士だ。

 また、あまり知られていないが、競売には競売申立人が負担するコストがある。不動産競売にかかる費用60万円程度を管理組合が負担しなくてはならない。さらに、管理組合が自ら落札する場合には、新たな購入者を見つけるまでの費用も負担することになる。同時に、公売をする行政側としても、新たな買い主が確実にいるのであれば、その人にこれからの固定資産税を払ってもらったほうがいい。

「管理組合も同様で、滞納管理費を新しい落札者に請求すると公売、競売が成立しない場合には、落札者には請求しないことを理事会で決議して、公売や競売を進めるようにしております。このため、公売の場合で、管理組合や管理会社が自ら新たな買い主を見つけてこようという積極的な参加意識が必要になります」(西込弁護士)

 公売入札価格は50万円程度となるが、公売を経ることで権利関係がクリアになっているうえに、手数料ビジネスの不動産業者が介在しないことで、新たな買い主側のコストを下げられることも大きい。

 たとえば、仮に50万円の物件であれば、不動産業者の手数料の上限は「200万円以下の物件では、価格の100分の5.4」と決められているので、2万7000円しか請求できないために、紹介するインセンティブも働かなくなりがちだ。すなわち、積極的に紹介されず、売れなくなる可能性が高い。そうすると、新たな購入者を探すために広告料なども管理組合側が追加的に負担せざるをえない。このような状態が、今まで地方の不動産が流通しなくなる大きな理由のひとつだった。

 若者世代のスキー・スノボ離れが叫ばれてはいるが、一方でスキー・スノボ三昧の生活を送るためにリゾマンを手に入れる若者も少なくない。めぼしい物件を見つけた場合は、その管理組合に直接話を持ち掛けるのもひとつの手といえそうだ。

 これからは、管理組合側も率先して自ら滞納管理費物件問題を解決していく時代になったといえるかもしれない。
(文=椎名民生)

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