NEW2017.04.27

米国、大麻の使用が急拡大…連邦法では禁止、巨額税収の魅力、揺れるトランプ政権
文=杉田米行/大阪大学大学院言語文化研究科教授
大麻をめぐる法律が矛盾した形で共存している状況
アメリカは自由の国であり民主主義の国なので、多数が大麻の合法化を望むのであれば、その方向に進むことを筆者は否定するつもりはない。
しかし、自由と民主主義を守るためには、法治国家を維持することが前提となる。『日本大百科全書』(ニッポニカ)によると、法治国家とは「政治は法律に基づいて行われるべしという法治主義によって運営される国家」と定義づけられている。
現在は、大麻を合法化した州法と、大麻を禁止する連邦法が、矛盾したかたちで共存している状況だ。悪法も法なり--。大麻の所持や販売を禁止した連邦法があるのであれば、当然それを遵守しなければならない。
きっちりと連邦法を遵守している人に対して公平であるためには、法を破った人間を取り締まらなければならない。そうでなければ、法を破った人が得をし、法を遵守する正直者が損をすることとなり、法治国家は崩壊してしまう。法治主義の精神に則り、自由と民主主義を守るために、決められた手続きに従って連邦法を変えることもできる。
(文=杉田米行/大阪大学大学院言語文化研究科教授)
杉田米行(すぎた・よねゆき)
大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。
連載「グローバリズムと日本の医療」バックナンバー
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