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ペット用医療が大幅進化、イヌ・ネコが長寿命化…再生医療やがん免疫細胞治療まで

ヘルスプレス編集部
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「がん免疫細胞治療」はペットの長命化の立役者になるか?

 人間では頻繁に話題となる再生医療だが、ペット対象の再生医療でも、がんをはじめ椎間板ヘルニア、下半身麻痺などの脊髄損傷、骨折癒合不全のほか、多発性関節炎、溶血性貧血、血小板減少症などの免疫性疾患、乾性角結膜炎、IBD(炎症性腸疾患)、難治性口内炎、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患などに対する治療薬の開発が進んでいる。

 岸上獣医科病院(大阪市)の岸上義弘院長は、2005年に獣医師22人と動物再生医療の研究会を立ち上げ、2013年に日本獣医再生医療学会(会員数約900人)を設立。同学会ホームページに治療が受けられる動物病院160カ所のリスト(http://jvrm.jp/owner1.html)を掲載し、再生医療とがん免疫細胞治療の啓蒙・普及に努めている。

 ペットの再生医療とがん免疫細胞治療は、どのように進めるのだろうか。再生医療は、さまざまな臓器・組織に分化する幹細胞を体外で培養後に、培養した幹細胞を体内に移植し、失われた臓器・組織の機能を再生する幹細胞治療だ。幹細胞治療は、骨髄液中に存在する骨髄幹細胞(MSC)または皮下脂肪に含まれる脂肪幹細胞を使う。

 幹細胞治療の流れはこうだ。

「骨髄液または皮下脂肪を採取する」→「清潔な環境でそれぞれの幹細胞を大量に培養する」→「培養した幹細胞を洗浄する」→「注射や静脈点滴によって体内に移植する」

 幹細胞治療は、高齢のペットや衰弱したペットでも副作用がほとんど見られないが、まれに吐き気・嘔吐・過呼吸・アレルギー反応などを示す場合がある。静脈点滴を大量に投与すると、肺塞栓のリスクも高まる。

「がん免疫細胞治療」は免疫力を利用したオーダーメイド治療

 一方、がん免疫細胞治療(活性化自己リンパ球療法/LAK療法)は、ペットに生まれつき備わっている免疫力(活性化自己リンパ球)を利用しながら、がんの発症状況や病態に合わせて行うオーダーメイド治療だ。

 がん免疫細胞治療の流れはこうだ。

「血液を10~12ml採取する」→「血液中のTリンパ球を回収する」→「薬剤によってTリンパ球を約1000倍に増殖する」→「増殖後、静脈点滴によってTリンパ球を体内に戻す」

 外科手術、化学療法、放射線療法はがん治療特有の苦痛を伴うが、がん免疫細胞治療はTリンパ球の増加によって免疫力を全身的に高めるため、拒絶反応が少なく発熱などの副作用も小さいので、ペットの負担が緩和される。再発・転移の予防効果も大きい。

 そのほか、がん免疫細胞治療には、抗原を提示する能力が高い樹状細胞(IL-4とGM-CSF)を増殖させて体内に戻す「樹状細胞療法(DC療法)」、がん細胞を攻撃するTリンパ球とがんを認識する樹状細胞を増殖させて体内に戻す「DC+LAK療法」、γδ(ガンマ・デルタ)T細胞治療を増殖させて体内に戻す「γδT細胞療法」などがある。

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11:30更新
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