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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

賃貸住宅、これだけのメリット…住宅ローン地獄も無縁、移動自由で設備修繕はタダ

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
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 現在、日本の居住物件の空室率は年々上昇しており、すでに800万戸を超える空き住戸があるといわれています。人口が減少しているにもかかわらず、新築物件はどんどん建てられていますから、将来の空室はもっと増えるでしょう。すると賃貸物件を所有する大家は空室に耐えられなくなり、よほど問題のある入居者はともかく、普通の人なら誰でもいいので入居を決めたいという大家が増えると予想されます。もはや借り手優位の時代です。

 確かに人気のエリアの人気物件ではまだまだ大家が強いため、高齢者単独での入居は難しい可能性はあります。しかし場所さえ贅沢をいわなければ、「高齢者は賃貸物件を借りられない」という状況はなくなっていくし、低廉な家賃の物件も増え、老後の負担もそれほどではない可能性が濃厚です。実際今でも地方の郊外に行くと、ファミリー向け物件でも家賃が月3万円以下の物件もたくさんあります。

車が運転できなくなるとつらい?

 年金が減り、家賃にあてるお金が厳しくなったとしても、上記のような地方郊外に住めば、劇的に軽い負担で住居を確保することができるでしょう。

 しかし、高齢で車の運転が難しくなったとき、買い物や通院などがつらいのは確かです。昨今、高齢者ドライバーによる交通事故が多発しており、なんらかの規制がかからないとも限りません。

 しかし、そうした懸念も払しょくされようとしています。それは自動運転技術の進展です。すでに米テスラモーターズがほぼ自動運転を実現させていますし、他メーカーでも自動車専用道路の単一車線上であれば自動運転が可能な段階にきています。おそらく10年後は、自分で運転する必要はなくなりそうです。すると、よほどの限界集落でなければどこに住んでも大丈夫という判断となり、一生賃貸という選択肢も悪くないでしょう。

家賃はレンタルサービスのひとつ

 不動産屋の営業マンの営業トークに、「家賃はドブに捨てるようなものですから」というものがあります。確かにその側面はありますが、賃貸をひとつのサービス料と考えればどうでしょうか。たとえばレンタルビデオ、レンタカーなど、世の中にレンタルビジネスは数多くありますが、いずれも「使った分だけ支払い、使い終わったら返却する」というものです。ということは、賃貸も住居のレンタルサービスと捉えることができます。

 ホテルに泊まる宿泊費を「ドブに捨てている」と思う人はいないと思います。もちろん一過性の宿泊と、継続して居住するものとは事情が異なりますが、住居とは基本的に「何かを成すための手段」に過ぎません。だから家賃を、「身軽さ・便利さ」「住み替えやすさ」や、「住宅ローンを抱えることに対するリスクヘッジ」としての代替コストと考えれば、無駄ではないと思える人もいるでしょう。

 つまり、賃貸という居住形態のメリットを享受できるサービス料だと考えれば、合理的な出費になるといえます。

移動とはチャンスを求める意思表示

 アメリカでは、「移動とは、何かを成し遂げたいという意思の表現である」といわれます。これは国土の広さの違いによるものでしょうか。新しいチャンスを求めて、より最適な場所へ移動するというのは、何もアメリカに限ったことではなく、日本でも同じです。東京にチャンスがあれば東京へ、ニューヨークにチャンスがあればニューヨークに。さらに、日本がヤバくなったら逃げ出せる、という選択肢を持っておける。賃貸とは、そういう身軽さ、自由さを与えてくれる居住形態といえます。

 そんなふうに賃貸のメリットを考えてみると、「自分の置かれた環境では、家は買うより借りたほうがいい」という判断になる人もいるでしょうし、「いや、やはり自分は買ったほうがいい」という判断になる人もいるでしょう。

 つまり他人が「家は買うな」「家は今が買い時」だと言ったとしても、それは必ずしも自分に当てはまるとは限らないのですから、自分自身の根拠を持って判断することです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

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