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米山秀隆「不動産の真実」

全国の住宅、3割が空き家に…寿命も米国の半分で長期使用困難、自治体の強制手段も要検討

文=米山秀隆/富士通総研主席研究員
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 ランドバンクとは、アメリカにおいて州や郡、市などの単位で設けられている組織で、固定資産税を支払えなくなった人の物件を優先的に取得する権利を持ち、行政が所有することで土地利用をコントロールする役割を果たしている。このようにドイツ、アメリカでは強制力を持った手段も使いながら、空き家対策が進められている。

 翻って日本では、空家対策特措法の施行に伴い、代執行など特定空家への強制手段は従来より取りやすくなった。しかし、欧米に比べて日本では所有権が強いことから、強制手段のハードルは高い。

 空き家を増やさない根本策としては、広がりすぎた市街地を縮減するとともに、新築を減らし中古市場を拡充していくことが必須である。しかし一方では、一定の条件の下で自治体に利用権を付与したり、所有権が移るようにするなど、強制力をもう一段強化する必要があると考えられる。

 これに関連した施策のひとつには、自民党の所有者不明土地問題に関する議員懇談会が、所有者がわからなくなった空き家や空き地を有効活用するため、自治体の利用権限を強化する新法の必要性を提言しており、早ければ秋の臨時国会に提出される可能性がある。
(文=米山秀隆/富士通総研主席研究員)

【参考文献】
倉橋透(2013)「イギリスにおける空き家対策」(都市住宅学80号)
小柳春一郎(2014)「欧米の空家対策:フランスの場合」(日本不動産学会誌110号)
前根美穂・中山徹・清水陽子(2010)「アメリカにおける空き家対策事業に関する研究」(日本都市計画学会都市計画報告集No.9)
室田昌子(2015)「ドイツの空き家実態と空き家対策」(都市とガバナンスVol24)

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