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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

急接近する習近平とプーチン、中露超大国同盟…欧州~露~北海道通貫の新シルクロード計画

文=浜田和幸/国際政治経済学者

 安倍首相との短時間の会見の際には、不機嫌そうな顔を見せることの多い習近平主席だが、サルマン国王とは大いに意気投合したようだ。トランプ大統領の下で、「アメリカ第一主義」と銘打った孤立主義に走りそうなアメリカと対照的に中国もサウジアラビアもこの「一帯一路」と「サウジ・ビジョン2030」を合体させることで、より開かれた通商貿易体制をアピールしようと試みているようだ。

 5月に北京で開催される「一帯一路」サミットを成功させ、アジアとヨーロッパをつなぐ新たな経済圏を構築しようと目論む中国である。習近平指導部はこのイベントを本年最大の外交イベントと位置付け、準備に余念がないようだ。日本からは経団連の榊原定征会長も二階氏に同行するかたちで参加するという。これまで日本企業はこの一帯一路計画には関心は寄せてきたものの、具体的な関与については「様子見」状態であった。今回のサミットをきっかけに流れが変わることになるのかどうか、大いに見ものである。

習近平主席の演説

 ところで、習近平主席の得意技は「歴史を味方につけ、相手を煙に巻く」といったテクニックといえよう。発言や演説には必ずといっていいほど、中国の歴史に触れる場面があるからだ。建国の父である毛沢東の偉業に触れつつ、革命の歴史を語り、13億人を超える国民の気持ちを奮い立たせるのである。2013年の毛沢東生誕120周年記念式典での発言を見てみよう。

「960万平方キロの広い大地を踏みしめ、中華民族の長期にわたる奮闘によって蓄積された文化的養分を吸い、13億の中国人民が結集し、自らの道を歩む。わが国にはこの上なく深い歴史の底力があり、この上なく強大な前進の原動力を備えている」

「歴史はもっとも良い教師だ。1840年のアヘン戦争から1949年の新中国成立までの100余年、中国社会は頻繁に戦火に脅かされ、絶えず戦禍に見舞われた。日本の軍国主義が発動した中国侵略戦争だけで中国の軍民に3500万人以上の死傷者を出す惨劇を引き起こした」

 こう大演説をぶつ。もちろん、この数字は中国側の主張によるもので、実証されたものではない。

 さらに、未来を象徴する「青年」に言及する際には、習近平主席のトーンは一段と高くなる。「夢は学習に始まり、事業の成否は能力で決まる。そうした意識を確立し、学習に励んで青春の大航海を乗り切る原動力とし、能力を伸ばして青春の荒波と闘うエネルギーとしなければならない」といった具合である。

浜田和幸/国際政治経済学者

浜田和幸/国際政治経済学者

国際政治経済学者。前参議院議員、元総務大臣・外務大臣政務官。2020東京オリンピック招致委員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士

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