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また、葬儀社が窓口となって僧侶が依頼を受けているケースもあるという。
「葬儀社にお勤めを紹介していただいた場合、『バックマージンを支払う』という業界の暗黙のルールがあります。そうなると孫請けのようなかたちになり、僧侶の手元に残るお布施はさらに減ります。それでも、依頼が少なくなった現状では、喜んで依頼を受けてくれる僧侶がたくさんいます」(同)
もはや、僧侶たちはどれだけ搾取されても「依頼があるだけまし」という状況で、建設業界における日雇い労働者の心理状態と変わりがないようにも思える。
都心への一極集中が止まらず、地方の高齢化が進んでいる現状をみると、このような傾向はますます強まると予想される。「檀家制度の価値が失われた現状では、20年後にお寺の数も今の半分以下になっていると思います」と北田氏は語る。
斜陽化したお寺業界で奮闘する僧侶たちには、どんな未来が待っているのだろうか。
(文=鉾木雄哉/清談社)