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私たちが知らぬ間に「こっそり増税」を進める自治体…レジ袋税、犬税、地方税増額も

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 法定外税は、地方自治体が独自に条例を制定して課税・徴税する。特定の自治体だけに課税される税金になるため、負担者(納税者)からの不公平感は強い。そうした性格から、地元住民や業界団体から反対されることも多かった。東京都が始めたホテル税も、導入当初はホテル業界から根強い反対があった。

 例えば、08年に杉並区が導入を検討したレジ袋税も反対が強かった法定外税として知られる。レジ袋税はコンビニエンスストアやスーパーマーケットで買い物をした際にもらうレジ袋に課税しようというもの。法律では事業者に課税するとなっているが、消費者にそれらが転嫁されることは明らかで、そのために業界団体のみならず市民団体や住民からも強い反対の声が上がった。あまりにも強い反対だったため、環境意識が向上し、不要なレジ袋をもらう人は少なくなった。杉並区は、レジ袋税が一定の役割を果たしたとの見方から、レジ袋税は施行されないままだ。

 ほかにも、大阪府泉佐野市は飼い犬に税金を課す犬税の導入を検討した。これも根強い反対から断念に追い込まれている

超過課税方式

 自治体が独自に課税する法定外税は不公平感が強いため、地方自治体は別の手口で増税を狙っている。それが、超過課税方式と呼ばれるやり方だ。

 超過課税とは、以前から徴収している都道府県税に上乗せするかたちで課税する税金。都道府県税に混在させることで、納税者に増税されたことが気づかれにくい特徴がある。超過課税方式として、すでに37府県で森林税が導入されている。

 従来の都道府県税などに金額を上乗せする森林税は、自治体によって微妙に税負担が異なる。16年4月から森林税をスタートさせた京都府は府民税に年間600円が、大阪府は年間300円が上乗せされる。森林税は、その使途が「森林整備や林業振興に使う」ことと限定されている。林野庁のある職員はいう。

「森林税に関しては、特に反対らしい反対は聞かない。環境意識の高まりから、導入された森林税は県民・府民から理解をいただいていると考えている」

 だが、森林税の存在をきちんと把握している納税者が多いとは思えない。しかも、「近年は環境保全意識の高まりを受けて、都道府県民税というかたちとは別に政府や自民党は国税としても森林を守るための環境税などを検討している」(同)というから、もはや“環境”を錦の御旗に掲げれば政府も地方自治体も簡単に増税できると思い込んでいるフシがある。

 増税に対して痛税感が薄れてしまえば、過去に断念したはずのレジ袋税や犬税などが再検討される可能性はある。それは、杉並区や泉佐野市の話ではないかもしれない。もしかしたら、自分の住む自治体に導入される可能性は十分にある。

 今般、消費税やたばこ税の増税ばかりが注目を浴びる。しかし、私たちの知らないところで増税は着々と進められている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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