●KDA監査法人

 1989年6月、国際第一監査法人としてスタートを切り、07年3月にKDA監査法人に名称を変更した。金融庁長官から業務改善命令を複数回出されている。

 金融庁は16年8月12日、KDA監査法人に業務改善命令(業務管理体制の改善)を行なった。公認会計士・監査審査会から検査の結果、運営が不当なものと認められたとして、行政処分の措置を講じるように勧告を受けていた。継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況を認識した場合の経営側の主張の妥当性の検討、内部統制に開示すべき重要な不備が認められるとして、監査手続きの見直しを求めた。

 旧国際第一のクライアントのなかには、アングラ勢力に食い潰されたあげくに倒産した丸石自転車があった。丸石自転車は架空増資事件に発展し、監査法人の責任が追及される事態となった。

 KDAのクライアントとしては、大盛工業(下水道に特化した土木会社。東証2部)が特記されよう。同社は風説の流布で捜査当局のメスが入り、04年1月に自己破産したジャパンメディアネットワークの親会社。国際第一時代からのクライアントである。その他のKDAのクライアントは以下のとおり。

 エス・サイエンス(旧志村化工。志村化工はニッケルの老舗だったが、株価操作事件の舞台となった。東証1部)、東理ホールディングス(教育関連と業務スーパーの2本立て。東証2部)、バルクホールディングス(情報セキュリティ支援のコンサルタント。名古屋セントレックス上場)、ストリーム(PC・家電の低価格販売サイト、東証マザーズ上場)、セキド(ブランド品店経営。東証2部)、伊豆シャボテンリゾート(旧オメガ・プロジェクト。伊豆シャボテン公園を運営。JQ上場)、アゴーラ・ホスピタリティー・グループ(香港資本の傘下。国内でホテル・旅館を運営。東証1部)

 ちなみにアゴーラは、マレーシアで霊園事業の経営権を持つ連結子会社の株式を取得した際、株式資産を棚卸し資産として過大に計上し、15年6月、有価証券報告書虚偽記載で課徴金を課された。

 現れては消え、消えては現れるのが、問題企業ばかりを専門とする駆け込み寺の監査法人だ。有名だったのが監査法人ウィングパートナーズ。07年2月の設立以来、大量の新株発行を繰り返すハコモノ企業がクライアントになった。

 のちに偽計事件が発覚するオーベン(旧アイ・シー・エフ)や、東証マザーズ上場第1号ながら不祥事続きだったニューディール(旧リキッド・オーディオ・ジャパン)など、20社余りを短期間にクライアントにした。

 ずさんな監査は、すぐに発覚する。09年7月、ウィングパートナーズとその主力公認会計士は金融庁から業務停止処分を受けた。その後、事務所は消滅した。

 新たな駆け込み寺は、すぐに登場した。09年7月に設立された監査法人元和は、ウィングのクライアントの大半と契約した。元和のクライアントは以下のとおり。

 ウェッジホールディングス(その他金融。JQ上場)、昭和ホールディングス(ゴムとテニスボールの老舗、昭和ホールディングスとウェッジホールディングスはA.P.F.グループを形成していたが、母体の投資会社A.P.F.ホールディングスは16年2月に破産を申し立てた。東証2部)、クリムゾン(カジュアル衣料卸売り。JQ上場)、ジオネクスト(IT関連とビルメンテナンス。JQ上場)、明治機械(製粉機械。東証2部)、日本通信(MVNO・仮想移動体通信事業者。東証1部)、NFKホールディングス(工業炉関連。JQ上場)、ヤマノホールディングス(和装・美容室。JQ上場)、Nuts(旧コモンウェルス・エンターテイメント、パチンコ向けコンテンツを仲介。JQ上場)、原弘産(山口県の不動産賃貸・仲介。東証2部)、ランド(マンション開発業者。東証1部)

 清和監査法人は東京国際監査法人として設立され、06年10月に清和に名称を変更した。金融庁は14年7月8日、清和に業務改善命令と1年間の業務の一部(新規契約)の停止命令を出した。公認会計士・監査審査会は、企業が提出した資料を十分に検証しないなど体制に不備があるとして、行政処分をするよう金融庁に勧告していた。企業が申告した売上高や利益などが正しいか裏付ける作業を十分にしてなかったというのが、その理由だ。清和は13年に民事再生法を申請したインデックスの監査法人だった。インデックスはその後、民事再生法から破産に移行している。清和のクライントは以下のとおり。

 マルマン(ゴルフクラブ。JQ上場)、ラオックス(中国人観光客への免税品販売。中国資本傘下。東証2部)、ジェイホールディングス(不動産。JQ上場)、アジアゲートホールディングス(ゴルフ場運営。土木会社からスタートしたが業態を転換。北海道、広島でゴルフ場を運営している。旧社名は仕手銘柄として名を馳せたA.Cホールディングスである。JQ上場)、澤田ホールディングス(モンゴルで大手銀行を保有。JQ上場)、アスモ(食肉卸のシンワと居酒屋経営のオックスが06年に合併。事業転換で給食と介護関連へ。東証2部)、パス(化粧品販売。東証マザーズ上場)、センコン物流(米穀、農機具などを配送。JQ上場)、ソフトブレーン(営業支援。東証1部)、イトーヨーギョー(コンクリート2次製品。東証2部)、イクヨ(三菱自動車向け合成樹脂部品。東証2部)、東京衡機(材料試験機の専門メーカー。東証2部)、ベリテ(宝飾品・時計の小売り。東証2部)

 デジタルデザイン(システム開発。JQ上場)は、第三者割当増資の中止など適時開示を行わなかったとして東証より改善を求められた。17年3月、元社長の寺井和彦氏の株式の保有割合は44.44%から12.48%に大幅に減少。金融会社Jトラスト(東証2部、監査法人は優成)社長の藤澤信義氏に大量譲渡し、経営権がJトラストに移る。藤澤氏は国内で初のペイオフ(一定額の預金を払い戻す制度)を発動された銀行として金融史上に名前を刻むことになった日本振興銀行事件に登場する。藤澤氏はネオラインホールディングス(HD)の社長として日本振興銀行のオーナー木村剛氏と対立する。ネオラインHDの金融子会社ネオラインキャピタルは、日本振興銀行が民事再生法を申請したことを受けて、「ネオラインキャピタルが保証した債権については、ネオライン側に帰属することになるから、今後、元利は日本振興銀行に返済するのではなく、ネオラインに返済するよう」求めた。これに日本振興銀行の金融整理管財人となった預金保険機構が嚙みついた。

●東京中央監査法人

 東京中央監査法人は、14年に金融庁より行政処分(一部業務停止処分)を受け16年1月に解散した。クレアホールディングスとサハダイヤモンドが上場企業のクライアントだった。クレアホールディングス(旧キーイングホームで頻繁に社名変更をしている。東証2部)の現在の監査法人は、赤坂・海生である。17年3月期の第3四半期(16年10~12月期)に「継続企業の前提に関する」注記がある。サハダイヤモンドは一時会計監査人にアリアを選任したが、16年11月に上場廃止になった。

 なお、アリアのクライアントには燦(さん)キャピタルマネージメント(不動産流動化。ホテルや投資運用子会社を売却して事業を再構築中。JQ上場)や、やまねメディカル(高齢者向け住宅。JQ上場)がある。燦キャピタルも17年3月期の第3四半期(同)にGC(継続企業の前提に関する)注記がある。

【その他】

 富士フイルムホールディングスは子会社、富士ゼロックスのニュージーランドの販売会社の会計処理が問題視され決算発表を延期した。16年3月期までの数年間に純損益ベースで220億円の利益の過大計上があった可能性があるという。富士フイルムの監査法人は新日本だったが、東芝の粉飾決算を見逃していたことが発覚したことから、富士フイルムは監査法人を17年3月期決算から、あずさに変更した。このあずさの公認会計士がニュージーランドの新聞記事から、この会社の会計処理の不備を知り、親会社に不適正会計を指摘した。ニュージーランド以外の販社も調査している。実は、15年に内部告発があったが16年3月期決算は何事もなく発表された。

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