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最低視聴率更新の『貴族探偵』…前後編に分けて間延びした展開、相葉のキャラもブレブレ

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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最低視聴率更新の『貴族探偵』…前後編に分けて間延びした展開、相葉のキャラもブレブレの画像1『貴族探偵』公式サイトより

 嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』の第6話が5月22日に放送される。第5話の平均視聴率は8.0%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)で、同作の最低視聴率を記録してしまった。続編に当たる第6話も視聴率回復は苦労しそうだ。

 麻耶雄嵩氏の小説を原作とした本作は、自らは推理をせず、使用人に謎解きを任せる「貴族探偵」(相葉雅紀)の活躍を描くドラマ。第5話は、元は伯爵の家柄である桜川家の婿選びがテーマ。当主の鷹亮(竜雷太)は孫である弥生(北香那)の婿候補4人を屋敷に集め、次期当主を選ぶ儀式を行っていた。だが、儀式の途中で婿候補の1人が何者かに毒物を盛られて倒れ、一命をとりとめるも婿レースから脱落。残りの3人も、密室だったはずの別棟で殺されていた――という展開だった。

 密室にいた全員が殺されていたというくだりだけ見ると、ミステリーの傑作『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)を彷彿させる衝撃的なドラマの見せ場になるはずだが、婿候補たちがおびえたり疑心暗鬼になったりする様子がないため、視聴者にも緊迫感が伝わってこない。たとえば、視聴者にさんざん「やられるぞ、やられるぞ」と思わせておいて本当に殺されてしまう。あるいは、自身に危険が迫っていることを予期していたのにそれを防げず殺されてしまう――といった展開なら、もう少し盛り上がったのではないか。こう言ってはなんだが、このような描写がないなかで婿候補3人の死体が発見されても、特に彼らに思い入れがないだけに「へえ」としか思えない。

 放送時間が足りないから余計な場面や演出をカットした、という言い訳が成立すればいいのだが、わざわざ前後編に分けているのだから、それも当てはまらない。どちらかというと、これに合わせて無理やり第5話の尺を延ばした結果、中身はスカスカに間延びしてしまった。話を引き延ばす力量がないのなら無理をしなければいいし、引き延ばしたのならもっと脚本を充実させてほしかった。

 相葉演じる貴族探偵は第5話では、ただひたすら偉そうでいやみたっぷりの人物になり下がった。婿候補たちに向かって「伯爵は君たちを凡庸な人間だと思っている」と上から目線たっぷりに発言。鷹亮の外孫・皐月(加藤あい)との会話では「あの子豚たちはまれに見る見苦しさを感じます」と婿候補たちを評するなど、高貴さのかけらも感じられない発言を連発。挙句の果てに、自分の名刺の上に物が置かれていたのに気付き、死者に向かって「この罰当たりが!」と吐き捨てる始末。どう考えてもキャラがぶれている。貴族探偵のキャラクターは鷹揚としているほうがそれらしいし、おもしろいと思うのだが、何のさじ加減でこうなってしまったのだろうか。

 第6話では密室殺人の謎が解き明かされることになるが、演出が悪いせいもあり、前編から後編への引きはあまり強くはない。なんだかわからないうちに3人が殺されていたせいで視聴者が置いてきぼりになり、「ぜひとも真相を知りたい!」と感じるまでには至らないのだ。前編の評判がよほど良くない限り、前編より後編の視聴率は落ちる。視聴率が低迷するなか、最終回前でもないのに2週にわたるエピソードを差し込んできた制作陣はチャレンジャーというべきか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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