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韓国、融和政策で北朝鮮暴走→韓国経済危機の自滅行為か…米国の安全保障の傘離脱も

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 韓国にとって重要なのは、国際社会との連携強化だ。これができないと、経済の改革すら難しくなると懸念される。米国など主要国との距離感が大きくなるなかで韓国が財閥解体などを進めると、同国の政治・経済はふらつき始める恐れがある。韓国経済の貿易依存度はかなり高い。簡単にいえば、国内企業の利益と給料の多くの部分を輸出と輸入に依存しているということだ。トランプ米大統領が自国の輸出拡大を重視した政策を目指すなか、本来であれば韓国は米国との関係をうまく調整しつつ、日本やアジア各国との関係を強化し、経済運営の基礎を固めるべきだ。 

 それが中長期的な韓国経済の安定と、数の上での支持国の獲得につながるだろう。韓国が38度線を挟んで対峙する北朝鮮の脅威を国際社会に伝え、自国の利益を守るためにもそうした取り組みは不可欠だろう。

一段と混迷深まる朝鮮半島情勢

 
 すでに、日米と距離を取ろうとする文新大統領への懸念は顕在化している。特に5月14日の、北朝鮮による新型と見られるミサイルの発射は、新大統領の就任と無関係ではあるまい。また、このミサイル発射により米中の対北朝鮮政策はさらに困難、かつ強硬なものになる恐れがある。

 トランプ政権は、核・ミサイル開発の放棄などを条件に対話の可能性を示してきた。中国も基本的には米国に賛同している。専門家のなかには米国がロシア、中国と今後の北朝鮮のあり方で一定の認識を共有したとの見方もある。これは、国際社会が制裁の強化などを通して将来的な北朝鮮問題の鎮静化を目指していることを示唆する。

 14日の新型ミサイルの発射は、米中などが態度を改めるべきだという金体制の意思表示と読み解くことができる。金政権は米国を射程圏内に入れたミサイルの脅威を突き付けることで、トランプ政権に強硬姿勢の緩和といった譲歩を求めた。同日「一帯一路」に関する国際会議を主催した中国に対しても、北朝鮮は制裁解除などの配慮を求めたと考えられる。

 この背景には、韓国での新政権誕生に付け込もうとする北朝鮮の思惑も影響しているだろう。国際社会が北朝鮮への批判を強めるなかで、文氏は批判よりも融和を重視してきた。その人物が大統領に就任したことを受けて、北朝鮮が「挑発を続ければ状況の悪化を懸念した韓国が自国に配慮を示したり、金書記長の考えを世界に伝える媒体になる」と考える可能性は十分にあるからだ。

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