法人設立

 実は新宿事務所をめぐってはほかにも不可解な動きがある。このところ、周辺にいくつもの会社や法人が設立されているのである。

 東京司法書士会のデータベースによれば、阿部前代表は新宿事務所の代表を辞めた後、東京都小金井市内に事務所を置いているとされる。建築設計事務所などが入る雑居ビルがあるその住所には、「ワタリ」という社名の広告代理店が登記されている。設立は14年4月。ホームページによれば、ほかにコンサルタント事業も手掛け、取引先にはテレビ局やラジオ局、新聞社の名前が並ぶ。

 ワタリの代表取締役は、14年7月まで「Atom One」なる新宿区内の会社で代表取締役を務めていた。同社の設立は09年12月。現在、代表取締役は女性に代わっている。ホームページによると、同社も広告やコンサル業が主体のようで、ほかに人材派遣業も手掛けているという。やはり取引先にはテレビ局やラジオ局などの名前が並ぶ。

 このワタリとAtom Oneの代表取締役がそろって役員を務めている一般財団法人がある。その名も「新宿事務所」で、住所は司法書士法人新宿事務所と同じ。設立は昨年8月で、当初は「阿部亮財団」といった。そう、代表理事は阿部亮氏なのである。新宿事務所の後任代表である齋藤氏も評議員として名を連ねている。目的欄には社会教育推進など財団らしい項目が並ぶが、よく見ると、不動産投資・賃貸・管理・運営業や自然エネルギー投資業なども謳っている。実際の活動内容はよくわからない。

 この一般財団法人の理事の一人は、とある株式会社の代表取締役を務めている。その名も「10―20―30」。新宿事務所のフリーダイヤル番号を想起させる社名だ。設立は昨年3月で、目的欄にはコールセンター業務などが並ぶ。ほぼ同じ時期に新宿区内では「新宿事務所」なる株式会社も設立されている。同社の代表取締役は阿部氏だが、目的欄には10―20―30社とまったく同じ項目が並ぶ。両社の活動実態もよくわからない。本業の過払い金ビジネスで外注先の役割を担わせようしているのかもしれない。

 新宿事務所に取材を申し込んだところ、当初の回答は「一切お断りしている」というもの。それでもメールで一連の異変とも呼べる動きや周辺の法人群について具体名を挙げ尋ねたところ、齋藤代表からおおよそ以下の通り、極めて簡単な答えが返ってきた。

「懲戒になることはありません。当事務所に関係ない質問に関しては言及する立場になく、回答を差し控えさせていただきます」

 この先、何が起きるのか、しばらく新宿事務所の動きを注視していく必要がありそうだ。
(文=高橋篤史/ジャーナリスト)

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