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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

「文字入力」終焉で「音声入力」時代突入…覇者アマゾン、人々の生活と既存ビジネスを変容

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員
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 音声入力によって得られるメリットは大きいが、文字入力から音声入力へのシフトは、単なる入力方式の効率化ではない。過去に、コンピュータのデバイスがPCから携帯電話、スマホへと進展するたびに、私たちの日常の行動は大きく変わり、それに連鎖して多くの企業が浮き沈みを経験してきた。

 だがそれ以上に、音声入力へのシフトは、私たちの生活を変容させる可能性がある。ヤフーやグーグルといった検索エンジン登場以後の「検索する(ググる)」「閲覧する」「シェアする」といったような行為は、文字入力を前提とした世界におけるユーザー行動である。したがって、話しかけるだけでさまざまな情報が音声で提供されるような、音声入力に伴うアシスト機能の活用が浸透すれば、このような行動は過去のものになるだろう。

音声認識を支配するアマゾン

 音声入力はすでに実用化の段階に進んでいることを先に述べたが、アップル、グーグル、マイクロソフトなどITの巨人がこぞって市場に参入している。

 そのなかでも、一歩も二歩も先を走っているのがアマゾンだ。アマゾンはクラウドベースの音声認識サービスである人工知能「Alexa」を搭載したスピーカー型のアシスタント端末「Amazon Echo」を2015年から販売しており、すでに市場の支配的な存在になりつつある。

 このAlexaは外部企業に対しても開放しており、その結果としてすでに7000以上のアプリケーション(アマゾンは「Skill」と呼ぶ)が開発されている。対応する製品領域は、自動車やテレビ、冷蔵庫、照明、eコマースなど多岐にわたり、IoT時代のインターフェイスになりつつある。一例としては、ユーザーの一声にデバイスが反応し、自宅の電気スイッチがON/OFFされるのはもちろんのこと、動きや物音を感知したりドアの開けっ放しを知らせてくれたりするそうだ。

 アマゾンにとって、対応製品が増えることによるメリットはスピーカーの売上ではない。さまざまな製品でAlexaがどのようなシーンで利用され、どのように音声で応答したかといった生データを短期間で大量に入手できることのメリットがはるかに大きい。この生データの収集・蓄積を進めることで、Alexaの音声認識の機械学習スピードは速まり、ライバルを引き離して独占的ポジションを構築することにつながっていく。

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11:30更新
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