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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

「文字入力」終焉で「音声入力」時代突入…覇者アマゾン、人々の生活と既存ビジネスを変容

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員
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アマゾン主導でのユーザー行動の変化

 Alexaを中心とした音声入力サービスがデファクトスタンダード化するにしたがって、一体何が起こるのか。

 米エクスペリアンが16年にユーザー約1300人に聞いた「Amazon Echoの利用方法」に関する調査では、「タイマーをセットする」「音楽を聴く」「ニュースを聞く」というのが三大利用シーンだった。

 ただし、注目すべき点は、買い物に関するタスクだ。上記の三大利用シーンには及ばなかったものの、45%のユーザーが買い物リストにモノを追加し、32%のユーザーが実際にアマゾンで購買するに至っている。世界最大の小売業になることを目標にし、顧客体験(UX)を重視しているアマゾンにとって、今後このAmazon Echoによる買い物体験の利便性の向上は間違いなく進展するだろう。

 一方で、アマゾン主導の音声認識による買い物体験の変化により、その周辺に群がる広告業界はビジネス上の打撃を受けるリスクがある。たとえば、音声認識によって「検索する」という行動が減少した場合、検索連動型のリスティング広告を展開するグーグルにとっては少なからぬ損失が出るだろう。もちろん、「Alexa、いつものスターバックスのコーヒーを買って!」と指示した際に、「今日は、春の新作フラペチーノが10%割引ですが、いかがですか?」と音声指示に連動したプロモーションを展開するようなことも技術的には十分可能だ。だが、どの企業よりも顧客体験を重視し、広告ではなくコンテンツでのマネタイズを本業とするアマゾンのEchoについては当面、収益源に関する心配はないだろう。

 いずれにせよ、文字入力から音声入力へと今後シフトが進むなか、私たちは入力方式の変化といった表層にとらわれず、そこから派生するユーザー行動の変化やビジネスモデルの変化について注視していく必要があるだろう。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)

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●村澤典知
インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。

・株式会社インテグレート http://www.itgr.co.jp/

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