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木村隆志「現代放送のミカタ」

『人は見た目が100パーセント』、なぜ桐谷美玲酷評でブルゾン絶賛?ミスキャストだったのか?

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト

 特に序盤は、前髪パッツン+下がり太眉の外見に加え、コントそのままの発声や仕草が多く、良い意味でも悪い意味でも目立ちすぎていた。いわゆる“3人娘”のドラマは、1人が目立ち過ぎると一体感が薄れ、全体のテーマがボヤけがちになってしまう。前期に放送された『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)を見ればわかるように、「外見や性格は違っても、言動のトーンは合わせる」というのがセオリーだ。

 序盤はブルゾンちえみのユニークな外見と強めの発声が目立ち、「それに比べて桐谷は美人が抜けず、声も出ていない……」と理不尽な比較を受けていた点は否めない。桐谷は脚本通りの陰気な女性を演じ、ブルゾンちえみはコントを下敷きにした演技をしていただけだ。そもそも、役の難易度は主演である桐谷のほうがはるかに高く、比べるのもおかしな話といえる。

 また、ブルゾンちえみ演じる佐藤聖良が、“オイシイ役”であることも彼女に味方している。“3人娘の3人目”は自由度が高く、オチになるシーンも多いため、多くの女優たちが演じたがるポジション。一部の主演女優を除けば、大半の女優が3番手ポジションからの飛躍を狙っているし、特にドラマへのレギュラー出演を願う舞台女優たちは「なんで女芸人が……」と悔しい思いをしている。

「知名度の低い女優より、話題性のある女芸人を使いたい」という制作サイドのキャスティングは間違っていないが、だからといってチャンスに恵まれない女優たちが演技で劣っているわけでもない。彼女たちにまったく非はないが、女芸人の演技評価が高まるほど、女優という職業は美人ばかりになり、そうでない女優は減っていくだろう。

今後はブルゾンちえみが桐谷美玲を盛り立てる

 個人的には、水川あさみを含めた3人娘のキャスティングは、いずれもハマリ役と感じているし、オシャレを研究するシーンは男性目線で見ても楽しい。さらに、『LIAR GAME』『失恋ショコラティエ』『信長協奏曲』(いずれもフジテレビ系)などのユニークな演出で知られる松山博昭の映像は、ある意味アニメ以上にアニメ的な奔放さがあり、とにかく笑わせてくれる。

 視聴率は低迷し、ネット媒体にはネガティブな記事も多いが、私が見聞きしている限り視聴者と識者の評価は高く、見逃し配信数も好調という(実数は発表せず)。それだけに一連のネガティブキャンペーンは残念だが、見ている人は「3人娘が、外見の美だけでなく、内面の成長を果たす」最終回で感動を味わえるだろう。

 近年、ドラマのヒロインに対する「役に合わない」「ゴリ押し」などのバッシングが当然のようになっている。「ホメられることがめったにない」というヒロイン受難の時代といえるが、桐谷はめげるどころか、主演女優らしくドラマ初挑戦のブルゾンちえみをサポートしていた。そんな背景もあるだけに、これから終盤に向けて「助演のブルゾンちえみが、主演の桐谷を盛り立てる」シーンが見られるのではないか。

「その頃には桐谷への厳しい声が収まり、2人の奮闘が素直に受け入れられてほしい」と願っている。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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