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ライザップ、赤字企業を次々買収の狙い…ジーンズメイト、なぜ9期連続赤字でも株価高騰

文=編集部
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ライザップ、赤字企業を次々買収の狙い…ジーンズメイト、なぜ9期連続赤字でも株価高騰の画像1RIZAPグループ本社がある新宿フロントタワー(「Wikipedia」より)

 トレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」を展開するRIZAPグループの子会社の株価が軒並み高くなっている。いずれも業績不振企業であるにもかかわらずだ。RIZAPの幹事証券は、SBIホールディングスの中核証券会社、SBI証券だ。

 ジーンズメイトは2日連続のストップ高(各80円高)で、1月の高値を抜き400円台に乗せてきた。5月18日には430円の年初来高値をつけた。安値は1月4日の188円だから株価は2.3倍になった。その後は、さすがに株価は反落したが、「連続赤字企業の株が、なぜこれほど高くなるのかわからない」との声が証券関係者からも出ている。

 マルコ、イデアインターナショナル、夢展望も連日、高値がついている。各社ともRIZAPグループの傘下に入り、業績の改善が確認されたというのだ。一斉に株主への還元策を打ち出しているが、最大の株主はRIZAPの瀬戸健社長である。

 女性用体型補整下着のマルコは、2017年3月期の営業利益が従来予想の3倍となる1億3500万円になった。16年同期は営業段階で6億円の赤字だったが、18年同期は12億円の営業利益を目標にしているといい、会社側は強気なのである。

「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載が解消された。マルコの第2位の株主は、9.2%を保有する伊藤忠商事で、マルコの主な仕入れ先でもある。ちなみに、RIZAPグループは63.1%を持っている。

 マルコは5月18日に一時、65円高の349円の年初来高値をつけた。安値は4月13日の128円で、わずか1カ月で株価は2.7倍に大化けした。

 イデアインターナショナルはRIZAPグループが57.9%の株式を保有しており、インテリア雑貨や旅行用品の企画・卸・小売り(直営店)を行う。17年6月期の第3四半期(17年1~3月期)の営業利益は1億6300万円(前期同期比3.1倍)。通期の営業利益の予想は3億4000万円(前期比86%増)としている。積極出店を続け、高水準の広告宣伝費を吸収して利益を確保するというが、これはRIZAPグループの前身、健康コーポレーション時代に瀬戸氏が実践してきた経営手法そのままだ。

 イデアインターナショナルは5月18日に1998円(288円高)の年初来高値をつけた。08年7月の上場以来の高値を更新した。17年6月期の業績予想を大幅に上方修正したことから、株価の上昇に弾みがついた格好だ。

 夢展望は10~20代の女性向け衣料品ネット通販の会社で、スマートフォンに強みを持つ。業績悪化でRIZAPグループの傘下に入った。17年3月期は営業損益段階で1億5400万円の赤字(前の期は3億2400万円の赤字)と赤字幅が縮小した。18年3月期は7億8000万円の大幅な黒字転換を目指す。14年9月に決算期を変更した15年3月、16年3月、17年3月と4期連続で営業赤字。4期の営業赤字の合計は17億7100万円に達する。

 それが18年3月期には7億8000万円の黒字になるという。5月18日には、ストップ高(150円高)の1090円を付けた。5月19日には一時、599円高の1689円まで株価は暴騰し、終値は320円高の1410円。2月6日の年初来安値は442円だから株価は3.8倍に暴騰したことになる。

 夢展望は16年末で4億円の債務超過だ。RIZAPグループのさらなる資本注入がなければ、18年3月期には上場廃止の危機が迫る可能性もある。夢展望も「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載がある。

 RIZAPグループ企業にはこのほか、SDエンターテイメント、パスポート、ぱどがある。SDエンターテイメントはRIZAPグループが60.6%を保有し、北海道でゲーム、ボウリング場を経営、本州でフィットネス施設を運営している。大型複合施設を札幌、旭川などで展開し、これが好調だという。子会社で保育所、6拠点を申請中だ。

 パスポートはインテリア雑貨・生活雑貨専門店で18年3月期に黒字転換する見通しという。RIZAPの出資比率は64.8%である。

 ぱどは無料情報誌を発行している。17年3月末払い込みでRIZAPグループに第三者割当増資を実施した。ぱども「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載がある。

ジーンズメイトの闇

 9期連続で最終赤字(17年2月期は8億2900万円の赤字)のジーンズメイトは、18年2月期に3億円の営業利益に転換すると会社側は説明している。これによって株価が急騰した。だが、同社も「継続企業の前提に関する重要事象等」が記載されている業績不振企業だ。

 ジーンズメイトをTOB(株式公開買い付け)したRIZAPグループは、店舗の内装や看板ロゴを刷新し、商品のラインナップも全面的に見直した。24時間営業店を縮小し、経営の効率化を図っている。

 ジーンズメイトの主な仕入れ先はエドウインだ。エドウインは伊藤忠商事の子会社になって経営再建中のジーンズの大手である。エドウインは12年8月に証券投資の失敗で500億円規模とされる巨額損失が発覚し、私的整理の一種である「事業再生ADR」を申請。ジーンズの素材を供給していた伊藤忠がスポンサーになり、再建計画をまとめた経緯がある。

 RIZAPグループが手当たり次第に経営不振の企業ばかり買い漁っている理由は、「負ののれん代」狙いだろうと市場関係者の間では言われている。

 RIZAPグループは今期からIFRS(国際財務報告基準)に会計基準を変更した。業績の悪い企業を帳簿価格より安い値段で買収すれば、「負ののれん代」を一括して利益に計上することが可能になり、瞬時に利益が積み上がる仕組みだ。

 RIZAPグループの16年9月期の営業利益63億9300万円のうち、「半分以上がこの手法によって生み出された利益ではないか」(市場関係者)といわれている。

 今後、RIZAPグループは何をしようとしているのだろうか。
(文=編集部)

【続報】

 RIZAPグループは、東証2部上場でヤマノグループの和装卸・堀田丸正が新たに発行する第三者割当増資、19億円を引き受け、6月28日付で子会社にする。増資後のRIZAPの出資比率(議決権ベース)は62.27%になる。これまで堀田丸正の親会社だったヤマノホールディングスは保有株式を今後、市場で売却する。RIZAPはジーンズメイトやネット通販の夢展望などアパレル企業を次々と傘下に収めている。RIZAPによる買収に伴い、堀田丸正は馬里巴と三鈴で社長を務める大西雅美氏が6月28日付で社長に就任する。井沢一守社長と山野義友会長は退任する。

 RIZAPが子会社にしたマルコも6月28日付で会長の朝倉英文氏が相談役になり、取締役だった大西雅美氏が退任する。大西氏はマルコの取締役から堀田丸正の社長になる。

 夢展望が凄まじい勢いで上昇している。5月24日には一時、500円高の2610円をつけた。終値は401円高の2511円である。上場来高値を更新中のイデアインターナショナルは5月24日、397円高の2377円まで上昇し、終値は2290円(312円高)。穏健な値動きだったSDエンターテイメントも5月24日には916円(150円高)の年初来高値まで飛んだ。パスポートも年初来高値の420円(80円高)となった。

 新たにRIZAP銘柄に加わった堀田丸正は184円の年初来高値。50円高(ストップ高)で1日中、値段が張りついた。5月18日に年初来高値(430円)をつけた後、反落していたジーンズメイト(東証1部)も5月24日には勢いを取り戻し、一時、410円(58円高)と高値に接近した。マルコもこの日は50円高の355円。年初来高値をつけた。ぱども年初来高値の475円(80円高)となった。RIZAP銘柄の株価高騰はどこまで続くのだろうか。兜町では、株価上昇とは別次元の関心が集まり始めた。

BusinessJournal編集部

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