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回数稼ぎ?練られた伏線?『直虎』が「柳楽優弥劇場」を大展開も視聴者からは疑問の嵐

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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回数稼ぎ?練られた伏線?『直虎』が「柳楽優弥劇場」を大展開も視聴者からは疑問の嵐の画像1『おんな城主 直虎』公式サイトより

 柴咲コウが主演するNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第21回が5月28日に放送され、平均視聴率は前回から1.3ポイントダウンの13.2%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 今回は、商談のために気賀を訪れた直虎(柴咲)が盗賊団に捕らわれてしまう。捕らわれた直虎のもとに現れた、龍雲丸と名乗る盗賊の頭(柳楽優弥)は、かつて井伊の領内で材木泥棒をはたらいた男だった。直虎は政次(高橋一生)の機転のおかげで無事助かるが、「武家なんて奴らは何代も続いた大泥棒じゃねえか」との男の言葉が頭から離れない。そんな折、方久(ムロツヨシ)は新たな金策の手段として領内の材木を売ってはどうかと直虎に進言する。直虎は材木を素早く切り倒す技術を持つ盗賊たちに仕事を任せることを思いつき、龍雲丸と直談判に及んだ――という展開だった。

 話の中心となった龍雲丸については、おおむね視聴者の評価も高い。盗賊稼業をなりわいとしているが、「武家やそこに群がるやつらからしか盗まない」というおきてを守り、親のない子どもたちを育てている不思議な魅力のあるキャラクターだ。柳楽の生き生きとした演技で、過去になんらかの因縁を抱えつつも乱世のはざまでたくましく生き延びようとするアウトローたちの姿が、現実感のあるものになっているといえよう。

 オープンセットでつくられた気賀の町も活気があって美しく、映画のような出来栄えだ。スタジオでの撮影が多かったこれまでの回とはうって変わって開放感あふれる映像となり、盗賊ですらのびのびと暮らす、商人の町ならではの自由な雰囲気が存分に表現された。

 その半面、1話丸ごとをオリジナルキャラの創作ストーリーに費やしたことについては視聴者から疑問の声も上がっている。大河ドラマで創作ストーリーが展開されるのは珍しいことではないし、むしろそれがないとドラマ自体が成り立たない場合がほとんどだ。だが、今回は「盗賊の頭」という完全創作キャラの話で1話が終わってしまった。

 このため、一触即発の事態を迎えている今川と武田の関係については完全にスルーされることになった。直虎誘拐は確かに大ピンチではあるが、一歩下がって広い視野で周囲を見ればそれどころではないほどに事態が緊迫していることについて、井伊家の誰も気にしていないように見える。

龍雲丸の正体は?

 大きな視点で歴史を描くばかりでは毎度毎度同じ内容になってしまうだけなので、今年も、昨年の『真田丸』同様に小領主の視点から見た戦国を描きたいという意図は大いに理解する。だが、それを強調するあまりに、歴史の流れが見えてこない傾向が『直虎』にはある。それ自体がリアルな直虎の目線なのかもしれないが、直虎の周囲だけに話が終始し、あまりにも歴史が動かないことについては違和感や退屈さを持ってしまう。

 家康(阿部サダヲ)はいつまでたっても碁盤の前から動かないし、直虎と親交があったはずの瀬名(菜々緒)もいっこうに登場しない。登場した時はすぐにでも出番がありそうに見えた今川の目付・井伊谷三人衆もほぼ出番がない。こうしたなかでの「完全オリキャラの創作ストーリー」に対して、視聴者からは「回数稼ぎのための無駄なエピソードではないか」との批判も上がっている。

 ただ、前回描かれた直親(三浦春馬)の評価爆下げシーンや、今回描かれた直虎幼少期のカブ泥棒伏線回収を引き合いに出すまでもなく、森下佳子の脚本が全体的によく練られており、先々の展開を見据えて書かれていることは否定のしようがない。そう考えると、龍雲丸にこれだけクローズアップするのも何かの伏線であると考えるのが自然だが、果たしてどうオチを付けてくれるのだろうか。放送後は視聴者の間で、龍雲丸の正体について「今川家ゆかりの者では」「後の石川五右衛門」「ただの創作キャラ」などさまざまな臆測が飛び交った。いずれにせよ、今後の歴史の大きな流れに龍雲丸が絡んでくることで、「今回は壮大な伏線だった」と思える展開を期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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