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「糖質制限」では「どのぐらい食べて」いいのか?釜池式・江部式・山田式の違いを徹底解説

文=吉田尚弘
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どのやり方にもメリットとデメリットがあり、向き不向きがある

 では、あなたはいったいどの方式を選ぶのがよいのでしょうか。

「理想的」なのは、糖質制限のメリットを最大限に得ることを目指す釜池式です。運動習慣があり筋肉のある人、なかでも長距離走る、長時間泳ぐなどの有酸素運動の習慣のある人にはベストチョイスだと思います。しかし、筋肉モリモリで瞬発力の必要な格闘技系の人には不向きかもしれません。また、「がん」が心配な人には、理論的に言って一番のお勧めです。

 ただ、いきなり取り組んでもうまく続けられない人が、ある程度いらっしゃるかもしれません。乗り越えることができれば、快適に過ごせる方が多いようです。

 また「現実的」なのは、数多くの人がチャレンジし、成功している江部式のスーパー糖質制限です。糖質依存を絶ち切りやすく、万人に適している制限量だと思います。実際、先の『主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ』を読んだ人の実績数でいえば、日本で最も成功事例の多いやり方でしょう。運動習慣のない肥満のある2型糖尿病の中年男性には最もお勧めです。

 ただ、「簡単、食べ放題」とか「主食を抜くだけで」というキャッチフレーズが誤解を招きやすくて、自己流に改変して失敗する人もいます(あまりにも大量に食べたり、逆にカロリー制限や脂質制限と組み合わせる人たちです)。最低3回は先の本を通し読みしてから取り組んでください。

「安全第一」なら、最初のハードルが一番低いのは山田式のロカボで、スムーズに始められます。糖質制限していない家族と、フルコースのディナーも楽しむことができます。

 また、糖質制限に反対する先生たちが「ぎりぎり譲れる糖質制限」がこれでしょうから、糖尿病で通院治療中の患者さんも始めやすい方法です。ただし、主治医と相談してください。若い女性、痩せている方、太っていても体力のない方、引きこもって菓子パンとカップ麺ばっかり食べてる糖質生活な方にもお勧めです。

 ただし、ある程度の糖質を食べながら制限するのには、強い意志も必要です。さらに、がんの人や機能性低血糖の人、重症糖尿病の人など「食後高血糖を絶対的に回避すべき人」には、糖質摂取量が多すぎると私は思います。

 以上、糖質制限の際の糖質摂取量に関して3人の医師の指導方法について簡単にガイドしてみました。最終的には、どれが合うか、実際にやってみて自分で選んでください。
(文=吉田尚弘)

吉田尚弘(よしだ・ひさひろ)
大阪市内のクリニック勤務。1987年 産業医科大学卒業、熊本大学産婦人科に入局、産婦人科専門医取得後、基礎医学研究に転身。京都大学医学研究科助手、岐阜大学医学研究科助教授後、2004年より理化学研究所RCAIチームリーダーとして疾患モデルマウスの開発と解析に取り組む。その成果としての<アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子の解明>は有名。
その傍らで2012年より生活習慣病と糖質制限について興味を持ち、実践記をブログ「低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告」を公開、ドクターカルピンチョの名前で知られる。2016年4月より内科臨床医。

連載「肥満解読~痩せられないループから抜け出す正しい方法」バックナンバー

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