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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

日本の自動車産業に危機感…米国政策変更で日本のGDP4兆円減、4万人の就業者数減も

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国内自動車10%減産で年間GDPマイナス4.3兆円

 以上を踏まえ、ここでは自動車産業の国内生産が10%減少した場合の影響について試算してみた。

 まず、15年以降の経済成長率に対する国内乗用車生産弾性値を計測すると0.08となる。つまり、国内乗用車生産が1%変化すると経済成長率が0.08%変化することになるため、国内乗用車生産が10%減少すると、経済成長率は0.8%押し下げられることになる。

 しかし、これらの減産の影響は経済成長率の低下を通じて国内の雇用も減少させることになる。こうした影響は、国内自動車生産が1%変化すると1年後の就業者数を0.006%変化させる関係があることから、結果的に国内自動車生産が10%単位で減産となると、国内の就業者数は0.06%減少につながることになる。

 これらの結果を踏まえれば、国内乗用車生産の10%減少は年間の実質GDPを4.3兆円押し下げることになる。また、このような自動車産業の国内生産10%減少の影響は雇用にも及び、1年後に4.1万人の就業者数減となる。



求められる日本を利する米国との経済協力

 以上みてきたとおり、今後は米国の通商政策見直しが不可避と予想されるなかで、その展開次第では国内自動車生産に影響が及ぶ可能性もあり、それは日本経済の成長を大きく左右する。こうしたなか、トランプ氏は関税と同等の効果を持つ国境調整税の導入に加え、対日貿易赤字や為替政策についても言及しており、自動車関連産業への不透明感が強まっている。

 ただし、国境税の導入は関税分の値上げを通じて米国内での自動車価格が上昇することになり、米国自動車市場自体が落ち込む可能性もある。従って、日本経済への悪影響を最小限に食い止めるためにも、緩和的な金融環境下での財政政策や規制緩和等を通じた内需拡大策の加速が求められる。

 さらに、先の日米首脳会談で麻生太郎副総理とペンス副大統領をトップに据えた日米経済対話が新設された。トランプ政権下で加速が期待される米国内でのインフラ投資への協力やロボットやAI(人工知能)、サイバー、宇宙関連等での連携、米国からの安価なエネルギー調達等で日米の経済協力が進展すれば、米国の保護主義による悪影響を緩和する役割を担うことができるのではないだろうか。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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