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山崎俊輔「発想の逆転でお金に強くなる『お金のトリセツ』」

ゾゾのツケ払いより全然ヤバい…気付かずハマってる、カードの超割高な利息払いループ

文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

カードを使いこなせない人

 ZOZOTOWN(ゾゾタウン)で買い物をする人は多いですが、アカウントをつくっていなくてもCMなどで名前だけは知っているという人も多いでしょう。

 そのゾゾが最近始めた「ツケ払い」というシステムが、ちょっとした話題となっています。お金がなくてもとりあえず買い物ができる、という触れ込みです。クレジットカードがなくても買い物ができるというのがポイントです。クレジットカードを所有していない場合、通常ではコンビニ払いなどで先にお金を払わなければ商品が届きませんが、「ツケ払い」ならまずは商品を手に入れることができます。

 もちろんあくまでツケですから、お金を払わなくてよいというわけではありません。後日支払いの請求がやってきます。購入から2カ月以内に支払えばよく、結果としてクレジットカードに似た後払いになる、という仕組みです。

 しかし、このツケ払いでパニックになる人も少なくないようで、ニュースとしても報じられています。

「お金のトリセツ」としては、このツケ払いをどう考えるべきでしょうか。「お金の払い方」として比較してみた場合、実はゾゾのつけ払いなんてかわいいもので、もっと厳しい方法があるとしたらどうでしょうか。

分割払い、リボ払い、ツケ払い……どれが一番ヤバいか

 今回比較してみるのは、ツケ払いと、クレジットカードや消費者金融のカードで分割払いをする方法、同様にリボ払いをする方法の3つです。まず、それぞれの返済方法について確認をしてみましょう。

【ツケ払い】

・利用金額の上限がある
・利息は取られないが手数料がかかる
・約2カ月後に支払期日がくる
・支払い回数は1回のみ
・複数のツケ払いを同時に設定できない

【分割払い】

・分割回数を指定することができる
・3回以上の分割払いを指定すると利息がかかる(一括払いなら手数料ゼロ)
・残高÷分割回数に利息を乗せた額を返す
・翌月ないし翌々月から分割払いが始まる
・分割払はひとつの買い物ごとに設定する(複数の分割払いを同時に行うことができる)

【リボ払い】

・一定の上限の範囲内であれば、いくら買い物をしてもよい
・借入残高によらず毎月指定額(1万円等)を返済する
・複数の買い物をした場合、ひとつの借入残高としてまとめられる
・買い物の時期や金額、回数は関係なく、残高全体に対して利息がかかる

 支払い方法には、実はいろんな性格があることがわかります。この違い、実は返済額にも大きな違いとなって現れてくるのです。

指定されたまま返済しても返し終わらない? リボ払いの落とし穴

 仮に3カ月に1回のペースで、5万円の買い物を計3回したとします。これを、以下の仮定で支払うとします。

ツケ払い(手数料324円)
・分割払い(分割6回、年利15%)
・リボ払い(毎月1万円返済、年利15%)

 ツケ払いはそのつど一気に返しておしまいです。合計支払額は15万972円です。

 6回の分割払いをした場合、1回当たりの返済額はそれぞれ8702円となり、買い物をするたび3つの分割払いを同時並行で返します。4カ月目から9カ月目までは2つの分割払いが平行するため、1月当たり1万7404円を返済することになります。合計で15万6630円を支払います。

 リボ払いで毎月1万円ずつ返した場合、毎月の返済は1万円とずっと変わらないのはいいのですが、4カ月目にはまだ全額返し終えていないのに、借入残高が5万円増加し、そこから利息の計算がまた行われます。6カ月目が終わっても借り入れ残高はまだ4万4000円ほど残っているのに、また5万円が追加され、すべてに対し利息を払います。全部返し終わるのはなんと17カ月目で、支払総額は16万500円にもなりました。

 ちなみに、このあいだにまたリボ払いで買い物をすればまた残高が増え、利息も増える無限ループに陥ります。

クレカは必要だが、ムダな利息に追われ続ける人生にならないことが大事

 比べてみると、実は負担が一番少なかったのはツケ払いになり、一番ヤバいのはリボ払いということになりました。リボ払いのもっとも危険なことは、「指定されたとおり返済はしている」ため、自分が利息に追われ続ける状況に陥っていることを自覚しにくいことです。

 返済の余裕がある場合、いつでも追加返済をして早く返してもいいのですが、ほとんどの人はそうしません。毎月1万円程度を返し続けるほうが、あえて「今月は3万円返そう」というような決断をするより楽だからです。

 分割払いも、実は相当割高な買い物になっていることもわかります。クレジットカードの買い物ではポイントがつきますが、利息に払った6000円以上のポイントがつくわけはありません。ポイント還元率は一般的には0.5%ですから、利息は必ずこれを上回るのです。

 今の時代、クレジットカードをまったく使わないということは考えられません。ネットで買い物をするにも困ってしまうからです。携帯電話料金もカード払いを要求されることがあります。しかし、クレジットカードは使い方ひとつで、いくらでも利息を払うことになる仕組みだということは知っておく必要があります。

クレカは一括払いかボーナス払いのみで使う

 クレカでは分割払いではなく、「一括払い」を選択することもできます。この場合、利息はかからずポイントだけ付与されますから、先ほどのようなケースでも支払総額は15万円だけですみ、一番安い支払い方法になります。5万円の請求がくるのはちょっと大変ですが、ポイントはもらえるので、750円相当のポイントを丸取りできます。

 家電量販店などで洗濯機やテレビなどを買う場合、ボーナス一括払いが選択できることもあります。この場合、次のボーナス月に一括払いをすることになり、これも利息がかかりません。ポイントはもちろんもらえるので、これも悪くない選択となります。

「リボ払い」や「分割払い」をなんとなく選んでいた人は、今まで何年も割高な買い物をしていた、ということです。これからは「一括払い」のみを選択し、ポイントを確実にもらいつつ、ムダな利息は払わないようにしていきましょう。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。個人の資産運用や老後資産形成のアドバイスが得意分野。日経新聞電子版やYahoo!ニュースなど多数連載を持つ。月間PVは200万以上。
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
financialwisdom

Twitter:@yam_syun

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