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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

間違いだらけの腰痛・膝痛の解消法、かえって悪化の危険?痛くても歩くほうが治る?

文=新見正則/医学博士、医師
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 ところが、突然に高速道路が寸断されると、一般道路を整備している余裕がないので不自由が生じるのです。ところが慢性閉塞ではボツボツと閉塞が進むので、一般道路を整備する時間的余裕があります。ですから、切迫壊死とか安静時痛といった症状は出ません。しかし、高速道路ではないのでたくさん輸送能力はありません。安静時には問題ないが、動くと症状が出るのです。それを血管性の間欠性跛行といいます」

禁煙は絶対に励行すべき

 極論君の質問です。

「そこまではわかりました。なぜ閉塞性動脈硬化症では、痛くても運動したほうがいいのですか?」

 非常識君の回答です。

「閉塞性動脈硬化症で足に痛みが生じるということは、血流不足を体が訴えているのです。ですから、体は閉塞している太い動脈の周囲の細い血管を、少々太くしたり、流れを改善したり、またその数を増やしたりして対応するのです。血流が必要な状態をつくらないと細い血管は発達しません。ですから閉塞性動脈硬化症では、歩くことが何より大切な治療法なのです。痛くなっても少々歩くことが大切です」

 常識君の追加意見です。

「閉塞性動脈硬化症は喫煙で悪化します。タバコは太い血管にも細い血管にも悪影響なのです。禁煙は絶対に励行すべきです」

 非常識君の追加意見と質問です。

「足の動脈が閉塞する閉塞性動脈硬化症では、間欠性跛行が生じます。安静時は痛くないが歩くと痛くなるのです。では希な病態ですが、胃や腸に栄養を送る動脈が慢性的に閉塞したときの症状はわかりますか?」

 常識君の回答です。

「足は歩けば痛くなるのですから、消化管では食べれば痛くなるのでは?」

 非常識君の回答です。

「そうです。食べれば腹痛が生じて、食べなければまったく痛みを生じないのです。食後にいつも腹痛があって、胃カメラや大腸カメラで異常がない人はこんな希な病気かもしれません。では骨盤に栄養を送る血管の慢性閉塞の症状はわかりますか?」

 極論君の回答です。

「便秘とか、排尿障害とか、生理痛とかですか?」

 非常識君のコメントです。

「それらの症状も起こるかもしれませんが、わかりにくいですね。わかりやすいのは、つまり閉塞した血管を手術やカテーテル治療で治すと元に戻る症状です。血管性のインポテンツです。安静時には腐りもしないし、また痛みもないが、血流が必要なとき、肝心なときに勃起させる十分な血流が得られません。そんな症状も慢性の血管閉塞では起こることがあります」

 今回は血管病変に造詣の深い非常識君の独断場でした。
(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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