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加計の学部新設、文科省未認可のまま今治市が133億円助成…市民が住民監査請求へ

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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 今回の住民監査請求や提出資料を見ると、今治市では同認可を受けて補助金支給のための前出・基本協定書と市有地の譲渡契約(仮)を2月13日に交わし、3月3日には3月議会がこれを正式に承認し、補助金支給を決め、すでに獣医学部建設は始まっている。

 このように今治市も、内閣府と同様に18年4月の開校ありきでこの件を進め、巨額の出費に対する市民への説明や議会での議論も十分に行わないまま、加計学園はフライングスタートするように工事を始めている。なお、今治市は内閣府とこの件で12回協議していたことがわかっている。

 しかし、もともと「国家戦略特区構想は、地域を限定した大胆な規制緩和や税制面での優遇によって、民間投資を引き出し『世界で一番ビジネスがやりやすい環境』を作るとしてアベノミクスの成長戦略として位置づけられてきたが、(略)『特区』とは名ばかり」(5月19日付日刊ゲンダイ)である。今回の獣医学部の事例でみると、今治市の特区で実績をつくったからといって、特区での実績を全国に普及させることはできず、従来にない先進的な獣医学部といっても、その実態すらはっきりしていない。

 結局、一連の経緯から浮かび上がってきたのは、安倍首相が「腹心の友」に「総理の意向」のもとで「加計学園に獣医学部をつくらせたい」ということであり、便宜供与以外の何物でもなかったといえる。

 今後、獣医学部の認定については、文科省の「大学設置・学校法人審議会」で審議される。この設置審議会は、学生数の確保や研究施設の整備など文科省が定めた複数の設置基準に沿って書類審査し、必要に応じて建設予定地の実地審査をする。「判定保留」ということもある。国家戦略特区の獣医師学部新設の閣議決定4条件(注2)として示された「獣医師はもっと必要だというデータ」がどう示されるかなど、国民に納得されるかたちで審議され、結論が下されるかに注視する必要がある。

 多額の公金支出にからむ大学学部新設の認可が、縁故主義の象徴である「総理の意向」の下に忖度され、安易に決定されることがあってはならない。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

【注1】獣医学部医学科:入学定員160名、6学年で960名
獣医学部看護科:入学定員60人、4学年で240名 

【注2】
(1)既存の獣医師要請ではない構想の具体化
(2)ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになる
(3)既存の大学・学部では対応が困難
(4)近年の獣医師の需要の動向

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