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国策液晶会社・JDI、経営危機に…経産省主導の「お役所経営」が完全に空中分解

文=編集部
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国策液晶会社・JDI、経営危機に…経産省主導の「お役所経営」が完全に空中分解の画像1「Thinkstock」より

 液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は、今夏をめどに抜本的な経営再建策を策定する。前向きのように聞こえるが、実態は中期経営計画を撤回して、国内工場の再編に加え、他社との資本提携に踏み出すということだ。JDIは再三再四、資金繰りが悪化しているが、今回は正真正銘の経営危機といっていいだろう。

 経済産業省がシナリオを描いた、有機ELのJOLED(ジェイオーレッド)を子会社にすることも、未定という名の無期延期となった。スマートフォン(スマホ)が液晶から有機ELへ急速に置き換わるという技術の変化を、経営陣が読み誤ったのが原因だ。

 液晶一辺倒の経営をリードしてきた本間充会長兼CEO(最高経営責任者)は、6月21日の株主総会で退任するが、その責任をどう考えているのだろうか。産業革新機構から出向していた社外取締役の谷山浩一郎氏も同日付で退任するが、同氏は5年間社外取締役を務め、“影のトップ”と呼ばれていたほどで、極めて責任は重い。JDIが倒産したら、いったい誰が責任を取るのだろうか。

 谷山氏は、革新機構というより経済産業省の意向の代弁者であり、執行部と厳しく対立することもあったが、谷山氏が押し切る場面が目立った。JDIの経営責任が曖昧模糊としている理由のひとつが、谷山氏の“暴走”にあるとの厳しい指摘もある。技術のトレンドがわからない経産省は、やることがすべて後手に回った。

 2014年3月の新規株式公開(IPO)も谷山氏が仕切った。900円という、当時の液晶会社の株価に比べて「異常に割高」(兜町筋)の公開株価になったのは、「実現性の乏しい、夢のような将来展望を示したから」(同)といわれている。主幹事証券会社の野村證券との“デキレース”で「想定外の公開株価になった」という評価が定まっている。

 上場からわずか1カ月後に業績予想を下方修正して以来、日常行事のように下方修正が繰り返され、株価は一度も公開価格の900円を上回ったことがない。上場してからの高値は、上場直後の14年4月の836円。16年の安値は138円という体たらくぶりだ。17年の安値も6月1日の192円。その後も安値圏でうろうろしている。株式市場(マーケット)はJDI経営陣の発言を信用していない。不信感は強烈だ。

 16年1月、革新機構・JDIがシャープの買収に動いた時の担当者も谷山氏だった。ライバルの台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)は、オーナーで経営トップの郭台銘氏が自らシャープの取締役会のメンバーに会って説得し、メインバンクのみずほ銀行のトップにも頭を下げた。それに対しJDI側は、社外取締役の谷山氏が出ただけで、革新機構のトップは動かなかった。谷山氏では力不足であり、当然のことだがシャープの取締役会を説得できなかった。シャープのメインバンク2行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行)も谷山氏に不信感を抱いていた。

BusinessJournal編集部

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