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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

乳酸菌やビフィズス菌、健康に「有効性ない」との研究相次ぐ…オリゴ糖も効果は不明

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長
乳酸菌やビフィズス菌、健康に「有効性ない」との研究相次ぐ…オリゴ糖も効果は不明の画像1「Thinkstock」より

健康と腸内細菌との関係

「腸が健康をつくる」というような話は、皆さんもよく聞く機会があると思います。これは腸そのものというより、腸に生育している腸内細菌叢のことを指しています。

 人間の大腸には、実際にはたくさんの細菌が常に生息しています。最近の研究では3500種類を超える細菌が大腸で生きているようです(参考文献1)。そうした細菌が人間の栄養状態の調整や、身体を本当に危険な敵から守るための、多くの働きを担っているのです。

 腸内細菌と病気との間に関連がある、という話は以前からあります。しかし、少し前までの考え方では、ビフィズス菌乳酸菌と呼ばれる腸内細菌が、下痢などを改善して腸を快調に保つ作用から、「善玉菌」として尊重され、その一方で病原性の大腸菌やウェルシュ菌などが、腸炎などを起こす「悪玉菌」としてとらえられてきました。

 大人の腸内細菌としては多数を占めている、嫌気性菌であるバクテロイデスと呼ばれる細菌などは、「日和見菌」というような名称で呼ばれ、悪玉でも善玉でもなく、それほど大きな役割は果たしていない、という半ば無視されたような扱いでした。

 ところが最近になり、実はバクテロイデス属に代表される日和見菌が、肥満や糖尿病の予防効果を持っている、という知見が相次いで発表されるようになりました。これは一体、どうしたことなのでしょうか。

腸内細菌の分析法の変化

 昔の検査では腸内細菌は便を培養することによって検出していました。その方法では培養しやすい菌としにくい菌があるので、培養で検出される細菌と、実際の体の中での腸内細菌のバランスとは、一致しないという側面があったのです。それが最近になって便中の細菌由来の遺伝子の一部をマーカーとして活用して、菌の検出と分類を行なうようになり、より正確に腸内細菌のバランスが診断できるようになったのです。

 現在広く使用されている分類によれば、大人の腸内細菌叢は、バクテロイデス門がもっとも多く、次にファーミキューテス門、続いてアクチノバクテリア門という順になっています。この門というのは腸内細菌の非常に大きな分類で、このなかには多くの細菌が含まれているのです。

 たとえば、ファーミキューテス門のなかには、善玉菌と呼ばれる乳酸菌の仲間や、悪玉菌と呼ばれるウェルシュ菌など、多くの細菌が含まれています。

 このように、以前の善玉菌や悪玉菌という分類とは別に、遺伝子の分類があり、その両者は一致しているものではないとうことが、話をややこしくしているのです。

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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