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安倍政権、選挙対策で「酒の安売り規制」…消費者犠牲にして支持基盤優遇

文=編集部
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 メーカーからのリベート減額は、スーパーとコンビニエンスストアの勢力地図に微妙な影を投げかけた。スーパーはメーカーからのリベートでビール類を安値販売し、集客の目玉にしてきた。リベートが減額されるなかで安売りを続けるとすれば、自腹を切らねばならなくなる。その点、もともと定価販売してきたコンビニは、規制後もほとんど値段を変えていない。

 スーパーとコンビニのビールの値段が、大きく変わらないのであれば、消費者はスーパーでまとめ買いするのではなく、近所のコンビニを冷蔵庫代わりに使い、その日に飲む分だけ買うことになる。

 改正酒税法は、スーパーや酒類量販店の安売りを抑えて、街の酒店を救済することが目的だが、酒店に客が戻ってくる可能性は低い。結局、24時間営業のコンビニに客が流れるのは必然で、街の酒店にプラスに働くとは考えにくい。

 規制強化のメリットどころか、街の酒店には安売り規制が逆風として吹きつけることになる。安売り規制という名の“官製値上げ”によって、若者のビール離れが加速するだろう。

飲み放題を禁止?

 それでは、居酒屋はどうなるのか。時間限定のビール飲み放題は、居酒屋の集客の目玉だ。しかし、飲み放題は安値販売にあたる。

 飲み放題の規制が強まるという観測がインターネット上で広がり、盛り上がった。きっかけは、「NEWSポスト」の『呑んべぇ天国の日本で飲み放題禁止、酒類広告規制の動きも』という記事で、タバコの次は飲酒の規制を厚生労働省が検討していると報じたことだった。

 この記事がネット上に拡散し、飲み放題禁止に反対する人たちから、「厚労省はろくなことをしない」などという批判の声が噴出した。

 焼き鳥チェーンの鳥貴族は6月7日、2001年7月期の単独決算を大幅に下方修正した。焼き鳥に使う野菜類の価格が高騰したことと、ビールの無料キャンペーンで来客数が想定を大きく上回り、利益率が下がったためだ。

 鳥貴族だけでなく、ワタミなどチェーン店を訪れる顧客もビールの値段には敏感だ。飲み放題がなくなれば、客足が落ちることは間違いない。加えて、やまやのような酒類ディスカウント業界にも酒の安売り規制は、ボディーブローのように効いてくるだろう。安売り規制で恩恵を受けるのはコンビニ業界だけという皮肉な結果も予想される。

 日本銀行がやっきになって策を講じるものの、なかなか実現しない公約「物価2%上昇」に関しても、酒の安売り規制はブレーキの役割を果たすことだろう。

 官製のビール値上げが、皮肉なことにビール銘柄の淘汰に拍車をかけることになるかもしれない。酒の安売り規制は、何もいいことのない天下の悪法だ。
(文=編集部)

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