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小笠原泰「日本企業は大丈夫なのか?」

東芝、巨額税金投入で国有化か…消滅の可能性も 経営陣、まともではない行動連発

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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債務超過と上場廃止

 もうひとつの喫緊の課題は、巨額な債務超過と迫りくる上場廃止決定である。昔のようにメインバンクからの借入という悠長な対策だけではことが済まされないので、資産(事業)の切り売りによる資金調達に奔走したわけである。

 2期連続の債務超過が東証の上場廃止基準である。東芝は前年度もリストラ費用やWH事業の減損で債務超過となる可能性があった。それを避けるために3月中の売却益計上がどうしても必要であったため、かなり強引な手法で東芝メディカルシステムズを6655億円でキヤノンへ売却し、公正取引委員会の顰蹙を買ったという経緯がある。結局、16年3月期の債務超過はなんとかしのいだが、17年3月期はWHの赤字が大幅に拡大し、あえなく債務超過に陥ってしまったわけである。

 2年連続の債務超過を回避すべく資金捻出のために、東芝は「虎の子の事業」を売る羽目になった。NAND型フラッシュメモリー事業を手掛ける半導体メモリ事業子会社、東芝メモリの売却である。同事業の世界シェア1位は35.2%の韓国サムソン電子、2位は19.3%の東芝だ。売却額は2兆円前後といわれており、東芝としては早急に高値で売却をしたいところだが、なかなか思惑通りに進まない。

 政府は4月、技術の海外流出の懸念があるとして、売却先企業によっては中止勧告をする意向を示した。政府は、それほど価値がない技術でもすぐに技術流出だとする傾向が昨今強い。日本企業に買い手はおらず、このようなケースでの日本の買い手といえば、官民出資の投資ファンドである産業革新機構と日本政策投資銀行という“税金使用機関”である。正直に目的は雇用維持だとしたほうがよいのではないか。また政府は、中国や台湾の企業などに買収された場合、安全保障上の懸念があるというが、これも根拠がない。

 見方を変えれば、救済という税金投入の格好の口実ともいえるが、売却候補先の選定スピードが減速した。最終的に革新機構・政策投資銀と米ベインキャピタル、韓国のSKハイニックスの日米韓連合チームと、米半導体メーカーのブロードコムの2陣営が有力候補に絞り込まれたが、半導体事業で東芝と合弁関係にある米ウエスタン・デジタル(WD)が自社以外への東芝メモリ売却を阻止するための法的手段を講じたので、リスクを考えるブロードコム陣営は慎重になった結果、東芝は6月21日、日米韓連合チームに優先交渉権を与えると取締役会で決定したと発表している。

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