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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

ガス代が3000円安くなるプランも!電気・ガスセット割引はかえって損?夏の光熱費節約術!

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
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 この夏は熱くなりそうだ。気候の話ではない。光熱費――電気料金とガス料金をめぐる戦いのことだ。

 2016年4月の電力自由化に続き、17年4月からは都市ガス自由化がスタート。7月からは、関東地方でも東京電力のガスとのセットプランが始まる。いよいよ光熱費戦争勃発か――と言いたいところだが、地域によってその温度差は異なるようだ。

 我々消費者にとってもっとも気になるのは、自由化に伴う価格競争で料金が下がるかどうかだ。電力自由化の際には、次々と新電力が参入し、魅力的なプランがずらりと並んだ。17年5月末の段階で、新電力への切り替え数は約395万件で全国平均6.32%となった。1割には届いていないが、「まぁまぁ」の数字に見える。

 しかし、都市ガスの切り替えについては動きが鈍い。もっとも切り替えが進んでいる近畿地方でも約16万件だ(6月2日現在)。東京電力の参入が本格的に始まれば一気に進むかといえば、そうでもなさそうなのだ。

東電、なぜガス参入に及び腰?裏にお家事情も

 話を先に進める前に、電気とガスの料金計算について、簡単におさらいしておこう。どちらも使用量に応じて適用される料金が異なるが、電気料金は3段階式の単価設定で、簡単にいえば多く使う家庭ほど段階的に単価が高くなる仕組みだ。

 ガスは逆に、使えば使うほど適用される単価が下がる方式になっている。「使用量のお知らせ」などを見て、自分の家がどの程度の使用量なのかを把握した上でプランを考えることが肝心だ。

 ガス自由化がもっとも盛り上がっている近畿では、大阪ガスと関西電力の競争が激しい。新規参入の関電は、自前の「なっトクプラン」で大阪ガスよりも安い単価を発表したが、それを受けた大阪ガスは、さっそく一般料金単価を見直し、さらにガス使用量が多い家庭向けに年間で最大約3000円トクするという「GAS得プラン もっと割料金」を発表した。

 すると、今度は関電が料金の引き下げを発表、あくまで「大阪ガスより安い」というアピールを崩さない。これには、昨年の電力自由化で大阪ガスが獲得した35万件もの電力客を取り返そうという強い意志が見える。しかし、直近の6月・7月の大阪ガスの料金を見ると、関電よりさらに安い数字が並ぶ。近畿エリアの家庭は目移りして選択に困ることだろう。

 しかし、関東エリアの状況はやや異なる。電気代見直しサイト「エネチェンジ」の巻口守男副社長によると、「都市ガス自由化に対する東京電力エナジーパートナーの戦略を見ると、初年度目標は東京ガスのエリアを中心に15万件相当を取るといっているが、そのうち東電が販売する分はたった4万件。これは、東電の社員だけでまかなえる程度の数字」だという。

 もちろん、全体の販売目標は50万件で、4万件を引いた残りは東電がタッグを組むプロパンガス大手の日本瓦斯(以下、ニチガス)とそのグループが引き受ける。

 そもそも、今回の自由化は都市ガスのガス管が引かれたエリアに限られ、プロパンガスを使用するエリアは無関係だ。関東では、東ガス以外の都市ガス業者が供給しているエリアは小規模な地域が多く、コストをかけてまで東電が取りに行くメリットは少ないという。

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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